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バックオフィス業務サポートコラム

BPRとBPMの違いとは?

NTTビジネスソリューションズには、NTTグループのバックオフィス業務で培ったスキル・ノウハウがあります。この実績を活かし、お客さまのバックオフィス業務をトータルサポートしているのが、私たちバックオフィスコンサルグループです。このコラムは社会保険労務士資格を持つ社員やNTTグループの給与計算などバックオフィス業務に携わってきた社員が担当します。バックオフィス業務に関する課題やトレンドに沿って、バックオフィス業務に携わる方の役に立つノウハウや考え方をアウトソーサーの立場からお伝えいたします。

後列左から
仲野舞さん、室井真己さん、松下和美さん(社会保険労務士資格保有)、竹田隼さん(社会保険労務士資格保有)
前列左から
西口阿里さん、渡辺由里香さん、岩永優一さん、小阪康祐さん

こんにちは。バックオフィスコンサルグループの岩永です。

前回はバックオフィス分野の4つの手法のうちの「OS」と「BPO」の違いを紹介しました。
第3回目は残り2つの「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)とBPM(ビジネスプロセスマネジメント)」です。どちらも業務改善手法ですが、違いを理解している方は少ないのではないでしょうか。今回はBPRとBPMの基本の考え方、違い、メリットとデメリットを深く掘り下げてご紹介します。

BPRとBPMの基本

BPR(Business Process Re-engineering)

BPRとは、業務内容を抜本的に変える「業務改革」とも呼ばれる手法で、1993年にマイケル・ハマーとジェームス・チャンピー共著の「リエンジニアリング革命」で有名になりました。高度に専門化された組織では、各々の専門組織が自組織内で業務を行うため、プロセスが分断され非効率な業務フローに陥るケースがありました。また分業された組織では、各々が自組織の責任を果たすことに重視し、組織内の最善の方向を目指すため、「自組織の最善」=「全体の最適」とならないケースもみられました。そこで、組織が行っている業務内容、フロー、構造を一から見直し再設計することを提唱したのがBPRの基本的な考え方になります。新しいプロセスを作り出す大きな改革となるため、自社のバリューチェーン※1や市場分析を行い、競争優位性を見極めたうえで経営陣が業務フローの改革の決断を下す必要があります。

※1バリューチェーン
商品やサービスが顧客に提供されるまでの一連の活動を価値の連鎖として捉える考え方のこと。

BPM(Business Process Management)

BPMとは、業務プロセスを可視化し、業務の無駄や非効率な点を発見し最適化を図る手法です。PDCAサイクルを継続的に繰り返し、常に改善・最適化を進めていきます。BPMは、業務プロセスのモデル化、いわゆる業務の標準化や共通化が容易となる特徴があります。バックオフィス業務は、異動などで担当者が変わったり、社内規定に明記されていない個別ルールが増えたりすることで業務フローが少しずつ変わって複雑化してしまい、わかりづらくなっていくことがあります。これらを防ぐためには業務プロセスの最適化(BPMの手法)が有効です。

BPRとBPMの違い

BPRとBPMの違いは大きく分けて以下の3点です。
①適用範囲
②改善の視点
③実施回数・期間
違いについて、具体的に解説していきます。

①適用範囲

BPRとBPMでは、適用範囲に大きな違いがあります。BPRは、全社的な改革を実施します。例えば、事業ごとにアウトソーシングする、既存システムの入れ替えといった抜本的な改革を行うとイメージすれば分かりやすいです。一方BPMは、業務の再構築は行うものの、全社一律に適用されず業務の改善に留まります。

②改善の視点

BPRは全社的な改革を実施するため、トップダウン方式となります。業務プロセスを一旦リセットし、経営幹部から各組織長、現場責任者、担当者へと改革案を伝えていきます。一方BPMでは、現場を熟知している担当者から業務プロセスの改善ポイントを上部組織へと伝えていくボトムアップ方式となります。

③実施回数・期間

BPRは既存システムの入れ替えや組織の再編成などが何度も行われると円滑な業務運営に支障をきたす場合があるため、1度の実施にとどまります。一方BPMは1度のみで完結せず、繰り返し継続的に改善を行っていくため長期的となります。

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メリット

BPR、BPM双方とも業務が効率化・最適化されますが、それぞれ異なるメリットがあります。
BPRは、組織の刷新が挙げられます。組織間の縦割り化や各組織の課題が業務向上の妨げになっているケースの場合、既存組織の業務改善に留まらず、組織体制から根本的に検討し再構築することで問題解決することがあります。また、組織変更に伴い社員の配置転換によるスキルアップやモチベーション向上が期待できます。
一方、BPMは、既存の業務内容を可視化することで、今まで気付けなかった根本的な問題を見つけることが可能になります。業務プロセスをモデル化することにより業務内容の変更や追加といったビジネス環境への変化にも柔軟に対応することが可能となります。
BPR,BPMともに、目標を明確に定め、実施することでサービスの質が上昇し、顧客満足度向上につながります。

デメリット

BPRは実施する際に多大な労力を要します。全社的に影響があるため、途中で中断することも困難であり全社員の理解や協力が必要不可欠です。目標設定や改革する事業領域が定まっていないと、不必要な部分にも手を加えてしまい業務効率が悪化してしまう恐れもあります。
BPMは現場での業務・データなどを可視化する必要があり、担当者への負荷が一時的に高まることがデメリットと言えるでしょう。

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BPR実施のための手法

参考までに、BPRを実現するための手法をご紹介します。④、⑤はBPMでもよく用いられます。

①BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)

業務の一部または全部を外部に委託(アウトソーシング)する業務改善手法です。業務のすべてを社内で行う必要はなく、むしろ外部に任せる方が効率面やコスト面でよい結果になることがあります。

②シェアード・サービス

社内、あるいはグループ企業内で見られる共通業務を集約して、専門の部署を立ち上げる、子会社化するなどしてコストを削減し、サービス向上を目指す施策です。BPRの実施過程で、特定の業務を効率化するのに役立ちます。

③シックス・シグマ

シックスシグマとは、ミスや欠陥品の発生率削減を目指すものです。統計学を利用し定量的な分析を行い、製品やサービスの欠陥や品質ばらつきを抑える施策を取ります。

④ナレッジ・マネジメント

業務のナレッジ(知識・経験・ノウハウ)は、社員それぞれで異なり、積み上げられています。このナレッジを全社で共有し、さらなる創造的なアイデアを生み出すように管理する手法をナレッジ・マネジメントと言い、特に、非定型業務の生産性向上に寄与する手法です。情報伝達の促進や顧客対応の強化も期待できます。

⑤見える化

業務プロセスを分析することで、業務プロセスの構成や作業の流れ・データの流れを可視化します。マネジメントやオペレーションのプロセス、結果を情報として把握と共有を行い、課題を見極めることで速やかな対応に結びつけます。BPRでも現状の業務プロセスを分析する際に使用する手法です。

まとめ

BPRとBPMは、推進方法に違いがありますが、現状の業務プロセスを分析、見える化したり業務の改善策を検討する点は同じです。戦略としてBPRを選択するか、BPMを選択するかは社内外の情報を収集し、目的・目標を明確に設定したうえで検討しましょう。

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