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事例紹介株式会社日本海水 様

導入製品・サービス:

※掲載内容は取材時の情報です

「塩」のリーディングカンパニーは
なぜNTTビジネスソリューションズの
ローカル5Gを選んだのか

「NTTは高い」と思い込んでいましたが、キャリアグレードでは安価でした

株式会社日本海水

赤穂工場 塩製造部 設備・安全グループ
中村 晃輔 氏

事例概要

製塩業界のリーディングカンパニー、株式会社日本海水様は、国内最大級の生産量を誇る赤穂工場(兵庫県)のDXを検討。その基盤となる無線通信ネットワークとして、NTTビジネスソリューションズの「ローカル5Gサービス」を導入した。これにより阪神甲子園球場の2倍以上の広大な敷地をカバーする信頼性の高い無線通信基盤を構築。工場DXの推進に向けた社内の機運も高まっている。

事例要約版ダウンロード

業種 製造業
規模 赤穂工場の敷地面積:約16.5万㎡(うち製塩工場:約8万㎡)
同 従業員数:約200人(うち塩製造従事者約160人)
同 塩生産能力:年間約21万t(国内供給量の約20%)
同 塩生産設備:イオン交換膜透析設備、真空式4重効用蒸発缶、流動乾燥機、計量包装機
課題 工場DXの推進に向けた無線通信ネットワーク整備
導入サービス ローカル5Gサービス

ポイント

  1. 工場の安定運転に耐える安定性
  2. キャリアグレードの信頼性と低価格の両立
  3. 無線局免許の取得に向けた手厚い支援

ローカル5Gサービス
導入背景

「塩」のリーディングカンパニーとして安定供給の使命を果たすため、
工場DXを推進

株式会社 日本海水
赤穂工場 塩製造部
製造グループ
山本 貴英 製造グループ長

製塩業界のリーディングカンパニーである日本海水様。そのシェアは国内供給量の約40%を占める。海から海水をくみ上げて塩を作るため気象などの影響も受けるが、業界で唯一、2つの製塩工場を持ち、高品質な塩の安定供給に努めている。

塩は、家庭用や業務用の食塩をはじめ、透析剤などの医療分野、道路の融雪や路面の凍結防止、水族館などで使われる人工海水などさまざまな用途で活用されている。

「塩は人間の生活に必要不可欠なものです。その安定供給が私たちの使命であり、全従業員がその重要性を認識しています」。そう力強く語るのは、年間21万t(国内供給量の約20%)の生産能力を有する赤穂工場の山本 貴英 製造グループ長。

「1日650tもの塩を効率よく生産し、安定的に市場へ供給し続けるために、生産管理や入出庫管理のデジタル化など、工場のDXに取り組むことにしたのです」

広大な工場全域をカバーする
無線通信ネットワークが必要に

株式会社 日本海水
赤穂工場 塩製造部
設備・安全グループ
中村 晃輔 氏

「工場の製造設備では、温度や圧力、流量、振動などさまざまな状況が刻一刻と変化しています。そうした多種かつ大量のデータを、人手を介することなく、リアルタイムに、トータルに把握して、製造工程の全体最適を図るには、IoTセンサーなどを接続するための通信環境が必要でした」と、設備・安全グループの中村 晃輔氏は話す。

しかし、広大な敷地内に点在する設備を有線ネットワークで接続するのはコストがかさむ。各種の計器類は、固定されている物もあれば、可搬型の物もある。加えて、塩を扱う設備であるため、物理的な通信ケーブルの接続点から錆が生じて断線する懸念もあった。

また、ペーパーレス化の一環としてタブレット端末を導入していたが、無線LANのアクセスポイントは事務所や操作室にしか設置されておらず、製造現場の日報などは無線のエリア内に移動してから送信しなければならなかった。

こうしたことから、広大な製塩工場と第一発電所の全域をカバーする無線通信環境の構築に向けて検討を進めることとなった。

ローカル5Gサービス
選定理由

安定性や信頼性、IoTを見越した多数同時接続性などから
「ローカル5G」を選択

工場内には、電波の障害となる金属やコンクリートで覆われたプラントが至る所にある。

「Wi-Fiで無線環境を整備しようとすると、アクセスポイントの数が膨大になることは目に見えていました。また、Wi-Fiはハンドオーバーに弱く、移動中に接続するアクセスポイントが切り替わると通信が途切れることもあり、実用的ではありませんでした」と中村氏。

通信キャリアのLTEも選択肢に挙がったが、「将来的にIoTセンサーなどの計器類をとにかくたくさん接続したかったので、コストが積み上がってしまいます。また、他のユーザーのトラフィックの状況によってはつながりにくくなるなど、ユーザーシェア型の公衆網は不確定要素が多く、工場の安定運転には不向きであり、選択肢から外れました」(中村氏)

これに対してローカル5Gは、5Gの特長(高速大容量・多数同時接続・超低遅延)に加え、自営網としての安定性と柔軟性を兼ね備えていた。免許制で自社専用のネットワークを構築でき、SIM認証によって接続端末を制限するため、強固なセキュリティーを確保できる。

「免許不要のプライベートLTE(sXGP)なども検討しましたが、兵庫県の『企業によるローカル5G導入支援』という事業で、赤穂工場で勉強会やコンサルティングを行ってもらうなどした結果、赤穂工場にはローカル5Gが適していると判断しました」

「キャリアグレードの信頼性」と「価格」、
「無線局免許取得支援オプション」が決め手に

日本海水様は、ローカル5Gサービスを提供する複数の事業者に見積もり提案を依頼して比較検討し、NTTビジネスソリューションズのサービスを選定した。

最も重視したのは、5G専用のコア装置の信頼性。中村氏は「見学した施設のローカル5Gデモ設備では、装置を定期的に再起動しなければならないのが実情だと聞いていました、専門家の助言なども踏まえると、大規模な工場で安定運用をめざすなら、キャリアグレードの信頼性が大前提になると考えました」と説明する。

最終的に決め手となったのは、「キャリアグレードの信頼性を備えながら、比較的安価だったこと」と中村氏。「正直に言うと、当初、『NTTグループは高そうだ』という先入観を持っていましたが、実際にはとても現実的な費用感で提案していただけました」と打ち明ける。「さらなるコスト低減のために、工事の施工範囲の役割分担の変更にも柔軟に対応してもらえたことも非常にありがたかったですね」

無線局の免許は日本海水名義で取得したかったため、「無線局免許取得支援オプション」があることも魅力だったという。中村氏はアマチュア無線技士の資格を保有し、無線の知識も豊富だが、「公開されている『ローカル5G免許申請支援マニュアル』を自力で読みこなして、電波法に基づく業務用の開設計画書など各種の書類を作成するのはさすがに難易度が高すぎます。免許関係の支援がとても手厚いのは心強かったですね。もしオプションがなければ、別途外部委託していたと思います」。

NTTビジネスソリューションズは、ローカル5Gの制度化当初から構築実績を積み重ねてきている。中村氏は「自社でも免許を取得して実際に運用されていますし、実績の件数は、他社と比べるとかなり差がありました」と話し、豊富な実績も安心感につながったという。

ローカル5Gサービス
導入効果

敷地全体をカバーする信頼性の高い無線通信基盤を整備
事前シミュレーションどおりの安定した電波環境を実現

赤穂工場のローカル5Gは2024年6月に開波し、日本海水様は工場DXの推進に必要な信頼性の高い無線通信基盤を無事に整備することができた。

今回のローカル5G導入プロジェクトを立案から主導してきた中村氏は、「実際に免許も取得でき、思い描いていたことが実現に近づいてきたことは率直にうれしいですね」と相好を崩す。

「端末を持って敷地内を歩いてみると、電波環境はどこも安定しています。ノートパソコンを2台使って20TB(約2万GB)ぐらいのデータを送ってみましたが、かなり安定していました」と話す中村氏。

「事前の電波調査では、建物や設備の高さ、外観の材質まで考慮した上で、3次元的にシミュレーションしてくれていました。電波の状況を直感的に把握できるヒートマップも作成していただき、調査結果はとても分かりやすいものでした。実際の電波環境は本当にシミュレーションのとおりで、見積もりの段階で極めて高精度の調査結果をご提示いただいていたことが分かります。まさに期待どおりの電波環境です」

ローカル5Gの導入で
工場DXに向けた社内の機運も一気に高揚

日本海水様のローカル5G導入は注目を浴びており、情報通信関連事業者などが参加するXGモバイル推進フォーラムのセミナーで中村氏が講演するなどしている。2024年3月まで設備・安全グループ長として中村氏の取り組みを見守ってきた山本製造グループ長は、「当社では若手でも自由に意見が述べやすく、若手のチャレンジを後押しする社風があります」と話し、若手の活躍に目を細める。

一連の取り組みは社内報でも大きく紹介され、にわかに期待が高まっている。

中村氏は、ローカル5G開波後の社内の意識の変化に手応えを感じている。「『DXの推進に向けて何か意見はありますか?』などと尋ねたとしても、以前はイメージが湧く人は少なかったと思います。しかし、実際にローカル5Gの電波が飛んでいることが周知されてからは、製造グループの3交替勤務の人からも『ローカル5Gがあるならこういうことに使えない?』などと気軽に声をかけてもらえるようになり、DXの具体的な要望やアイデアがとても集まりやすくなりました」

山本製造グループ長は「これを機に、工場全体でもあらためて全従業員を対象にDXの基礎から研修を行おうと考えています。そうすることでより多様な意見が集約できると期待しています」と話し、ボトムアップで工場DXを推進していく構えだ。

今後の展望

ローカル5Gを活用し
「人とデジタル技術の調和した工場」をめざす

日本海水様は今後、各製造工程の制御装置やタブレット端末などを順次、ローカル5Gに接続。多種多様なデータを蓄積しながら、AIによる分析や画像解析、未来予測による業務の効率化や安全性の向上などに取り組み、少子高齢化などによる労働力不足や技術伝承など山積するさまざまな課題に挑んでいく。

山本製造グループ長は「ローカル5Gの導入後、NTTビジネスソリューションズから、NTT西日本と連携して、ローカル5Gを活用した工場の効率化に向けたコンサルティングの提案があり、NTT西日本グループの総合力の高さを感じました。日本海水の社内だけの知見から出てくる活用案は限られていると思いますが、IoTやDXに関する豊富な知見を活かしたNTT西日本からの提案を楽しみにしています」と期待を寄せる。

中村氏は「NTT中央研修センタにある『ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ』も見学させてもらいましたが、自動運転の無人搬送車が実際に走っているような、あのクラスの設備は他社で聞いたことがありません」と感嘆する。

「将来的にローカル5Gを活用した工場DXが進み、『人とデジタル技術の調和した工場』に近づくほど、ローカル5Gへの依存度が高まっていくと想定されます。NTTビジネスソリューションズには、さらなる冗長化をはじめ、より安定したサービスの提供を期待しています」(山本製造グループ長)

企業紹介

人と海を技術でつなぐ
株式会社 日本海水

設立 1995(平成7)年10月
本社 東京都千代田区神田駿河台4丁目2番5号
従業員数 711人(2024年3月末現在 連結)
事業内容 海水産業のパイオニアとして、塩事業を中心に環境・電力・食品・農業・水事業など幅広く展開。赤穂工場では発電設備の燃料を木質バイオマスや天然ガスに転換するなど、生命の源である海の資源を利用する責任と使命感からSDGsも意欲的に推進している。
URL https://www.nihonkaisui.co.jp/

営業担当者から

ローカル5Gはあくまでも手段。お客さまの業務変革にも手厚く伴走します

「ローカル5Gサービス」は、キャリアグレードの本格的な5G機能を、設計・構築から免許取得、運用・保守までワンストップで提供するサービスで、次のようなお客さまにお勧めです。

  • 敷地が広く、LTEやWi-Fiの電波が行き渡らないエリアが生じている。
  • 工場の有線設備を削減し、無線化によって生産性を向上させたい。
  • Wi-Fiのアクセスポイントが多くなり、管理負担や電波干渉の課題がある。
  • 4KカメラやAGV(無人搬送車)などを導入してDXを推進したいが、既存の通信環境では対応できない。
  • 過去にローカル5Gを検討したが、予算が合わなかった。

特に「予算」について、弊社と同等のスペックを、弊社と同等の価格で提供するサービスは現在の市中にはないと自負しています。

通信は「つながって当たり前」のものであり、ローカル5Gはあくまでも「手段」です。ローカル5Gをうまく活用し、お客さまの本来業務をよりよいものにしていくことこそが重要だと考えています。

そこでさまざまなソリューションの導入支援を行っているNTT西日本 兵庫支店としては、DXコンサルティングやデータサイエンスのスキルを有するNTT西日本のLINKSPARK(https://linkspark.jp/)と連携し、ローカル5Gの高速大容量・多数同時接続・超低遅延のメリットを活かした業務の高度化・効率化や、さまざまな収集データを利活用するソリューションの導入支援に取り組み、お客様の課題解決と業務改革に向けて伴走させていただいております。

また、NTT西日本本社の敷地内にはローカル5Gデモ環境が整備されており、NTT東日本も「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ」を開設。どちらも見学可能です。

これまでの取り組みを通じて、製造業に限らず、さまざまな業界の共通的なユースケースや課題に対する知見も蓄積されてきていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

NTT西日本 兵庫支店 松本 延治
NTTビジネスソリューションズ 荒木 佑馬