事例紹介株式会社山陰合同銀行 様
※掲載内容は取材時の情報です
コンタクトセンターのオムニチャネル化により、
サービス向上と効率化を両立

生成 AI の活用による効率化で
新たな施策へチャレンジしています
株式会社山陰合同銀行
執行役員 ダイレクトチャネル部 林 部長
ダイレクトチャネル部 兼DX推進本部 池田 担当部長
ダイレクトチャネル部 コンタクトセンターグループ 長岡 副調査役
事例概要
山陰合同銀行様は、山陰地方を拠点とする広域地方銀行として長年地域経済を支えてきた。近年はセカンドブランドのデジタルバンクにより、エリアを問わない金融サービスを提供するなど新たな取り組みにも挑戦している。2024年にはコンタクトセンターシステムを刷新し、生成AIやIVR(自動音声応答)の活用により効率化を推進。新施策の人的リソースを創出するとともに、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)向上も実現している。
業種 | 金融 |
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規模 | 事業所:本支店108拠点、国内外事務所3拠点(2025年4月7日現在) グループ会社:9社 従業員:1,771名(2025年3月末現在) |
課題 | コンタクトセンターのオムニチャネル化 |
導入サービス |
ポイント
- コンタクトセンターシステムとCRMシステムの刷新
- 生成AIやIVR活用による業務効率化
- データを活用し持続的にサービスや業務を改善
AQStage IPコールセンタサービス オムニチャネルプラン
導入背景
非対面チャネルを強化しオムニチャネルを推進
顧客と従業員の満足度向上をめざす
山陰合同銀行様は、近年持続的な成長に向けたビジネスモデルの変革に取り組んできた。2023年度は、2021年度からの中期経営計画の経営目標をすべて達成し、強靭な経営体制を構築。2024年度から新たな中期経営計画をスタートさせ、前中期経営計画で構築した個人客向けアプリや法人ポータルなどのDX基盤を元に、新たにDX戦略を立案した。その中心施策の1つが、オムニチャネルの推進である。
ダイレクトチャネル部の林 部長は、その理由を説明する。
「社会全体の方向性としてノンボイスのコミュニケーションが急増しています。20代、30代は74%がオンラインでの問題解決を望んでいるという統計もあり、そういったニーズに効率良く対応できるコミュニケーション基盤が必要と考えました」

林 部長
そのため、コンタクトセンターシステムは更改期限の少し前だったが、新たなシステムの導入を検討しはじめた。そのめざすところを林部長は語る。
「単純なシステム更改ではなく、非対面チャネルの強化を見据えて、各チャネルの動線をつなげ、生成AIなども使いながら、顧客満足度、生産性、収益性、従業員満足度のすべての向上をめざしました」
AQStage IPコールセンタサービス オムニチャネルプラン
選定理由
NTT西日本グループによる全体設計を評価

池田 担当部長
山陰合同銀行様は、ITベンダー6社に対して提案を依頼。提案内容を比較検討した結果、NTT西日本グループの提案を採用した。ダイレクトチャネル部 兼DX推進本部 池田 担当部長は、その理由を「全体設計の強み」と語る。
「電話の回線や全体のコンセプトはNTT西日本、コンタクトセンターシステム(音声基盤)はNTTビジネスソリューションズ、FAQはコンサルティング機能があり、代理店でもあるNTTマーケティングアクトProCXとそれぞれ強みをもっています。さらに関連会社である、NTTテクノクロスのCRMシステムを連携。必要な機能すべてが揃っており、オムニチャネルのスムーズな動線を作っていくには最良と考えました」
導入されたシステムは、「Genesys Cloud CX」を音声基盤にもつNTTビジネスソリューションズの「AQStage IPコールセンタサービス オムニチャネルプラン」だ。同サービスを軸に「CRMシステム(顧客管理/応対管理)」を新たに連携。「Genesys Cloud CX」はCRMシステムとの連携や将来的なオムニチャネルへの対応など、RFP(提案依頼書)に示された要件に複数のソリューションの中で最も適しており、さらにCRMシステムとの連携実績があったことで選定された。
新たなコンタクトセンターシステムは、2024年7月から順次リリースが始まっている。最初にスタートしたのが、FAQの仕組みである。従来のFAQと異なり、有人チャットへの動線を示すなど、顧客の望むスタイルでの課題解決が可能になっている。続いて10月、連携して利用するCRMシステムと同時にコンタクトセンターシステムの利用を開始した。導入にあたっては、部署や役割別に複数回の研修を実施。マニュアルをベースに実際のシステムを操作しながらの研修により、段階的な導入ながらスムーズな移行が実現した。
AQStage IPコールセンタサービス オムニチャネルプラン
導入効果
会話の文字起こしと要約に生成AIを活用し、業務を効率化
人員を増やさず新たな施策へチャレンジ

長岡 副調査役
コンタクトセンターシステムの利用により、既に大きな効率化が実現している。その1つが生成AIの活用だ。
従来は、担当者が対応できない事案を上司などに引き継ぐ際に、内容を直接伝える必要があった。また対応が終了すると、会話の記録を一からシステムに入力していた。今回生成AIを活用することで、会話内容の文字起こしと要約作成を自動化した。「生成AIによる効率化は数人分にのぼる」と、ダイレクトチャネル部 コンタクトセンターグループ 長岡 副調査役は評価している。
「逐次文字にできるので、直接の受電者以外でも内容の把握が容易になりました。また記録は一から手入力していましたが、生成AIが作った文章を確認し必要に応じて修正するだけになったので、コミュニケーターは喜んでいます」
「効率化によって浮いた人員の配置を変えることで、人を増やさずデジタルバンクや地域通貨の提供、アウトバウンドの強化といった新たな施策に取り組めています」(池田担当部長)
電話の取り次ぎや待ち呼の見える化で、
顧客サービス向上と適正配置を実現
山陰合同銀行様のコンタクトセンターは、通常インバウンド(受電)担当とアウトバウンド(架電)担当がおよそ半々で運営している。インバウンドに関しては、従来コンタクトセンターがすべての電話を受けていた。新たなコンタクトセンターシステムのIVR機能を利用することで、適切な部署や支店に振り分け可能になり、コンタクトセンターの負荷が削減。お客さまをお待たせする時間も短縮できている。その結果、生成AI同様、数人分の業務効率化が実現した。
山陰合同銀行様はアウトバウンドの強化にも取り組んでいる。その際、対応人数を増やさずにサービス品質を維持、そして向上させるために重要なのは、インバウンドの稼働率に合わせて担当を柔軟に振り分けることだ。新たなコンタクトセンターシステムではダッシュボードでコミュニケーターの稼働状況を表示するため、振り分けが容易になった。
「コミュニケーターの稼働状況が良くわかるようになったので、受電が少ない時はコミュニケーターをインバウンドからアウトバウンドに回すといったことが簡単にできます」(長岡副調査役)
コンタクトセンターに蓄積されたデータを分析し
新たな課題解決手段を提供
2025年3月からは有人チャットとビジュアルIVRもスタートした。ビジュアルIVRは、目的別に情報や連絡先に簡単に到達できる仕組みだ。目的に合わせて電話やアプリ、有人チャット、FAQなど様々な手段を選べるようになっている。
「従来もWebサイトにいろいろな情報を掲載していたのですが、なかなか目的のページに到達できないという課題がありました。何万件にもおよぶお客さまが電話をかけてきた理由を分析し、これがあればお客さまがより素早く、必要な情報にアクセスできるだろうと導入しました」(池田担当部長)
他にもアウトバウンドセールスで細かな内容を説明する際にショートメッセージを活用。音声だけでは話す方も聞く方も負担だったが、後で送ったリンクから説明ページを閲覧してもらえるようになり、コミュニケーターの負担が軽減している。
NTTビジネスソリューションズは、運用状況の監視サービスを提供すると共に、運用開始後も現場ならではの要望や課題対して適切にアドバイス。お客さまご自身で運用できるようサポートをしている。池田担当部長はNTTビジネスソリューションズのサポートについて、「研修をしっかりしてくれて、アフターフォローもよくやってくれています」と評価している。
今後の展望
お客さまの声を分析し、
よりニーズに合った付加価値の高いサービスの実現へ
オムニチャネルプロジェクトは現在も推進中で、これからも様々な取り組みが続く。既に生成AIによる会話の記録はハッシュタグをつけて分類しており、分析して今後のマーケティング活動に活用する予定だ。さらに山陰合同銀行様の次期構想に合わせて、AIやbotサービスを活用した顧客サービス向上や業務効率化など、より付加価値の高いサービスをNTT西日本グループ全体で支援していく。
他にも、生成AIを活用することで夜間や休日にお客さまにサービスを提供できないか、検討を進める。また、オンラインのコミュニケーション手段をさらに拡大し、より気軽に便利にお客さまとコミュニケーションがとれる環境を整えたいとも考えている。
こういった新たなサービスの展開に欠かせないのが、データだ。コンタクトセンターはお客さまとのコミュニケーションの記録が集まる重要な場であり、新たなコンタクトセンターシステムではそのデータの蓄積と分析が容易に実現する。
池田担当部長は今後の展望をこう語る。「コンタクトセンターシステムに残るお客さまの声をもっと活用し、サービスや業務の改善につなげていきたいです。これからもお客さまにより良いサービスをお届けするために、良いものをどんどん取り入れていきたいと考えています」
企業紹介
地域の夢、お客様の夢をかなえる創造的なベストバンク
株式会社山陰合同銀行
本社 | 島根県松江市魚町10番地 |
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創業 | 1878年12月1日(設立:1941年7月1日) |
サービス提供開始 | 2024年10月 |
会社概要 | 山陰を基盤に、山陽、関西にまたがる広域店舗ネットワークを築き、高水準の自己資本比率と質の高い貸出資産により強固な経営基盤を持つ。コンサルティングとデジタルを軸としたリレーションシップバンキングを展開することで、より積極的に社会課題を解決し、自社が共に成長する持続可能な地域社会の実現を目指す。 |
URL | https://www.gogin.co.jp/ |
営業担当者から
「型にはまらない提案で、真に寄り添うシステム構築を」
お客さまが顧客一人ひとりを大切にされている姿勢に強く共感し、「型どおりのシステム提供では要望に応えられない」と感じたのが本案件のスタートでした。
コンタクトセンター業務の変革に対する高い期待に応えるべく、AQStage IPコールセンタサービス オムニチャネルプランのベース基盤となる「Genesys Cloud CX」の機能を最大限活用し、実際のシステム画面やドキュメントを活用した提案を重ねながら、お客さまのご要望を一つでも多く形にしたいとの思いで取り組みました。
特に、新たに導入したIVRを含むコールフローの設計においては、お客さまと密に対話を重ねることで、顧客体験の向上とセンター業務の効率化、そしてシステムトラブル等も考慮した構成となっており、お客さま導線の最適化を図ることができたと考えています。

バリューデザイン部 ソーシャルイノベーション部門
IPCCビジネス担当
松木 俊浩(左)/ 池川 涼平 (右)
また、クラウドシステムへの移行にあたり懸念されがちなセキュリティ面についても、設計段階から細部まで配慮し、安心してご利用いただける仕組みを整備しました。
今後も定期的なミーティングなどを通じて運用状況を把握・分析し、そこから得た改善提案やオムニチャネルプラン(Genesys Cloud CX)の新機能の活用提案など、積極的に働きかけも行いながら、継続的なシステム改善に向けたパートナーとして協業していきたいと考えています。
コンタクトセンター業務のDXを推進し、顧客体験の向上と業務効率化を目指す企業様に、オムニチャネルプラン(Genesys Cloud CX)は特におすすめです。
週次で機能がアップデートされるクラウド型サービスのため、生成AIなどの最新テクノロジーをいち早く活用できるほか、GUI操作で機能追加や設定変更が容易に行えます。業務環境の変化にスピーディかつ柔軟に対応できる点も大きな強みです。
お客さまのご要望に適うご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。