事例紹介西日本電信電話株式会社
※掲載内容は取材時の情報です
karafuru AI(カラフルAI)が変える職場環境:NTT西日本の実践と成果

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」が浸透した職場を作るには、何が必要なのか?
西日本電信電話株式会社
執行役員 関西支店長
小川 成子 氏
事例概要
社員が生き生きと働ける環境づくりを最優先し、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進にも積極的に取り組んでいるNTT西日本が、AIを活用したアンコンシャス・バイアスチェック&トレーニングツール「karafuru AI(カラフルAI)」を導入。
このツールを通じて、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に気づき、個々人が行動を変え、多様性を受け入れる職場づくりを加速させています。
「一人ひとりがいきいきと働ける環境を作る」——そう語る、執行役員関西支店長の小川成子さんが推進する取り組みは、果たしてどのような変化を職場にもたらしたのでしょうか?
彼女自身の実体験を交えながら、「karafuru AI」導入によって得られたメリットや研修環境の変化に関してお聞きしました。
業種 | 通信・インフラ |
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課題 | ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンが浸透した職場を作るには、何が必要なのか? |
導入サービス |
ポイント
- アンコンシャスバイアス対策を進める中で、従来の研修に限界を感じていた。
- karafuru AIの導入により、効率的かつ継続的な学習を実現した。
- 今後はLGBTQ関連など未着手の分野にも活用を拡大し、多様性を尊重する職場をめざす。
karafuru AI
導入背景
全社員が活躍できる職場環境の整備
NTT西日本は、西日本エリアにおいて通信インフラの提供とICTソリューションを展開する企業です。企業や自治体に対して、クラウドサービスやネットワーク構築、セキュリティ対策など、多様なICTソリューションを提案・提供しています。また、膨大なインフラ設備の保守・運用を24時間365日体制で行い、地域社会やお客さまの課題解決に貢献し続けています。
また、社員が生き生きと働ける環境づくりに注力。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進にも積極的に取り組んでいます。特に、アンコンシャスバイアスの対策に力を入れ、全社員が活躍できる職場環境の整備を進めています。
karafuru AI
選定理由
実体験によって、DE&Iの重要を実感
私自身、女性としてキャリアを積む中で、アンコンシャスバイアスに直面する場面が多くありました。
例えば、約20年前に本社の主査をやっていた頃、私の上司の部門長と他の部門長が海外出張を企画されて、私が行けるように「1枠渡したから」と、事前に他の部門長がこっそり情報をくださったんですね。
それを聞いて、私は海外出張行ける機会に恵まれたのだと思って待っていたんですけれど、気が付いたら、私の同期の男性がその海外出張に行くことになっていたんです。後日談を聞くと、私の上司の部門長が「女性1人で海外出張に行くのはかわいそうだろう」ということで、その同期の男性に行かせると決めていたんですね。
私が事前にその1枠をくれるということ知っていたので確認できましたが、知らず知らずのうちに女性という理由でチャンスを失っていることがあるのではないかということを、その時実感しました。
オフライン研修でのDE&I浸透に限界を感じる
karafuru AI導入前は、DE&Iの重要性を社員に伝えるために、主に研修や対話会を実施していました。しかし、これらの取り組みだけでは、アンコンシャスバイアスへの理解が深まらず、実際の行動変容に繋がりにくいと感じていました。
例えば、ロールプレイング研修(1人が部下役、1人が上司役、もう1人が2人のやり取りを見る役)を実施しましたが、研修対象の管理職が200人程度いるので時間調整や進行に多くの労力が必要でした。また、研修自体が一時的なもので、継続的な学びや実際の職場での変化を確実に追跡することが難しかったんです。
さらに、特に男性の管理職が女性特有の悩み(例えば不妊治療や育児との両立)を理解しきれず、適切なアドバイスをするのが難しいという課題もありました。その結果、女性社員が抱える問題が解決されないまま、自分で抱え込むことが多かったのです。
DE&Iの浸透が組織を強くする

こうした経験から、社員が公平に働ける環境を整えることの必要性を強く意識するようになりました。多様性を受け入れることは、組織の成長や競争力向上にも直結します。
多様な視点や価値観が交わることで、新しいビジネスチャンスや課題解決のアイデアが生まれ、持続的な成長につながると確信しています。
karafuru AI
導入効果
AIが相手の研修でクオリティが大幅に向上
DE&Iの理解促進と、アンコンシャスバイアスの解消を目的としてkarafuru AIを導入しました。従来のロールプレイング研修に代わり、より効率的かつ持続的に学びを提供できる方法だと考えています。
AIを活用した模擬対話を通じて、具体的な場面での適切な対応方法を学べるようにしています。
例えば、女性活躍推進、エイジダイバーシティ(年齢に関する多様性)、ジェンダー平等、若手男性社員の「逆差別」の問題、不妊治療に関する相談対応といったテーマが設問として設定されました。これらの設問を通じて、参加者はkarafuru AIから個別のフィードバックを受け、自身の偏見や課題に気づくことができます。
また、研修の進捗や課題が点数化されるため、理解度を定量的に把握できる仕組みも取り入れられています。
karafuru AI導入によって得られたメリット

導入後の成果として、AIによる個別のフィードバックが参加者のDE&Iへの深い気づきをもたらし、ロールプレイング研修に比べて時間やコストの面での課題も解消されました。オンラインで使用できるので、場所や人目を気にする必要がないですし、研修参加者のスケジュールに対して、柔軟に実施できます。
また、自主的に取り組める形式で実施できるので、効率的に学びを深められると感じています。実際に、研修を受けた管理職からは、DE&Iへの理解が深まったとアンケートでの回答がありました。
karafuru AIの研修を受けたある男性マネージャーが、こんなことを言っていました。『AIは、こう答えたら良いんじゃないですかとフィードバックをくれるのですが、その内容がかなり個人の発言を生かしてくれる』と。
ロールプレイング研修の場合、講師は一人ひとりへの個別のフィードバックが難しく、ペアワークでも基本的に一般論しか返答できないため、一般的に『こうした方が良いですよ』と一律の返答しかできません。しかし、AIは参加者の発言を否定することなく、それを基にして『もっとこうした方が良いんじゃないですか』と提案してくれます。このやり方は、研修参加者にとって「自分の考え方を否定された」という印象を与えにくいですよね。よほど的外れな発言をしない限り、自分の意見が尊重されている感覚を持てるので、研修へのモチベーションも維持できます。
厳しい指導や『それは間違っています』といった指摘を受けると、モチベーションが下がることがあります。そうしたマイナスの要素が少なく、自分の意見を生かしつつ改善点を示してくれるため、モチベーションを維持したまま研修を進めることができるのが、karafuru AI導入の大きなメリットだと思います。
また、今後は、karafuru AIの活用をさらに進めるため、未着手の分野(例えばLGBTQ関連)への対応を検討しています。DE&Iの研修を継続的に実施し、社員一人ひとりが多様性を受け入れ、より良い職場環境を築けるよう取り組みを進めていく予定です。
今後の展望
karafuru AIはDE&I推進の重要なパートナー
karafuru AIは、アンコンシャスバイアスの解消を通じて、DE&Iの理解を深め、社員一人ひとりが力を発揮しやすい環境を作ることに役立つと実感しています。
AIとの模擬対話を通じて実体験を提供するため、単なる座学では得られない深い気づきを得ることができますし、個々の発言を尊重しながら、改善点を指摘してくれるため、否定される感覚を持たずに学びを進められます。モチベーションを損なわず、行動変容につなげることができる素晴らしいツールだと思います。
さらに、karafuru AIはオンラインで柔軟に運用できるので、オフラインの研修に比べて準備や運営の負担が大幅に軽減されます。また、結果がデータとして定量的に示されるので、組織や個人の課題を可視化しやすく、次の改善策を立てやすい点も大きなメリットですね。
研修内容は幅広いテーマに対応しており、不妊治療や逆差別など、これまで扱いが難しかったテーマにも取り組むことができ、幅広い企業の課題に対応できると思います。
加えて、導入サポートやアドバイスもあるので、初めての企業でも安心して利用できる仕組みが整っていると思います。そのため、karafuru AIはDE&I推進の重要な課題を解決するツールとして、多くの企業におすすめしたいです。
企業紹介
西日本電信電話株式会社 関西支店
本社 | 〒534-0024 大阪市都島区東野田町4-15-82 NTT WEST i-CAMPUS 事業内容:総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業 |
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URL | https://www.ntt-west.co.jp/ |