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事例紹介サミット株式会社 様

導入製品・サービス:

※掲載内容は取材時の情報です

食品残渣をリサイクルすることでSDGsに貢献
従業員・消費者も巻き込んだ食品資源の循環圏を形成

従業員一人一人の自発的な参画意識の高まりが何よりもうれしい効果です

サミット株式会社
総務部

総務グループマネジャー 平道 哲理 氏
総務グループ 岸田 達也 氏
お客様サービス室 林 政行 氏

事例概要

東京都を中心に南関東エリアで食品スーパー122店舗を展開するサミット株式会社様では、1店舗につき1日約100kg発生する食品残渣を、どのようにリサイクルしていくかがか課題となっていた。
そこで、食品残渣を発酵させて分解する装置を導入することで、店舗内でのリサイクルを実現し、食品残渣の廃棄量と廃棄費用を削減。さらに、発酵物から生成した堆肥を農家に提供し、その農家が栽培した野菜を店舗で販売することにより、消費者も巻き込んだリサイクルループを形成しようとしている。
それを支えているのがNTTビジネスソリューションズの「地域食品資源循環ソリューション」だ。

業種 小売業
規模 食品スーパー122店舗
(東京都:89、埼玉県:11、神奈川県:16、千葉県:6)
(2023年7月現在)
課題 食品残渣のリサイクル推進
導入サービス

地域食品資源循環ソリューション

ポイント

  1. 食品残渣の店舗内リサイクルを実現し、食品残渣の廃棄量と廃棄費用を削減
  2. 地域内で食品資源が「循環」するリサイクルループを実現
  3. 従業員のリサイクル意識が自発的に向上

地域食品資源循環ソリューション
導入背景

従業員はISOの環境認証を「自分事化」してワクワクできるのか?

サミット株式会社様は、2017年から、「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」という事業ビジョンの下、「総菜総選挙」「はじめてのレジ打ち体験」等、買い物にとどまらない楽しさの体験を提供し、消費者、地域・社会、取引先、そして従業員も「みんながワクワクするスーパーマーケット」をめざしてきた。

ワクワクするスーパーマーケットを構築するとともに、世界的に取り組みが進むSDGsを踏まえ、2021年7月、サミットとして取り組むべき社会課題を、5つの重点テーマの「GO GREEN」チャレンジ宣言としてまとめた。

「GO GREEN」チャレンジ宣言

総務グループの平道 哲理グループマネジャーは「もともとはISO14001(環境マネジメントシステム)の認証は取得していました。ただ、長年の運用の中で「認証継続のための取り組み」のようになってしまい、従業員が自分事化できずに形骸化を感じていました。そこで、認証の継続をやめ、サミットらしい取り組みをしようと『GO GREEN』チャレンジ宣言を制定したのです」と説明する。

事業ビジョンの実現に向けて、壮大なテーマであるSDGsを従業員一人一人が「自分事」として捉え直し、「自分の仕事の中でどのような取り組みがSDGsに資するのか」を考え、「私たちのGO GREEN」を宣言して、まずは小さな一歩を踏み出す。そして、日々多くの人々が来店する食品スーパーの特性を活かし、消費者、地域・社会、取引先とも連携して取り組んでいくという。

「会社として大きなことをやるというより、一人一人の小さな行動の積み重ねが大きな成果につながる。そんな取り組みにしたいという思いがあります」

「処理施設の受け入れ余力の限界」と「廃棄費用の高騰」

「GO GREEN」チャレンジ宣言の5つの重点テーマのうちの一つは「地球にやさしい調達・利用の推進」だ。

サミットストアの廃棄物のリサイクル率は77%(2022年度実績)。再利用ができずに最終処分せざるを得ない物の多くは食品残渣が占めている。1店舗当たり1日約100kgの食品残渣が発生しており、その大半は、野菜を加工する時に発生する野菜残渣だという。

それらの残渣は、廃棄物処理事業者に処分を委託し、一部の店舗からはリサイクル施設にも運搬される。しかし、このリサイクルの取り組みは、リサイクル施設の処理余力に限界があり、また、店舗と処理施設が離れていれば、輸送時のCO2排出で環境負荷が高まってしまう上に、コストもかかるという問題があった。

「食品残渣の発酵分解装置については、以前から知ってはいましたが、当時はコストが見合わず、導入には踏み切れませんでした。しかし、『GO GREEN』チャレンジ宣言を受けて、業務におけるSDGs貢献を考える中で、再度、店舗内での食品残渣処理について検討を始めました」(平道グループマネジャー)

地域食品資源循環ソリューション
選定理由

「堆肥型」「乾燥型」「消滅型」の3タイプを比較検討

NTTビジネスソリューションズの「地域食品資源循環ソリューション」を知ったのは、展示会のブースに立ち寄ったことがきっかけだったという。

「『なぜNTTグループが?』と不思議に思いましたし、最初は『話だけでも聞いてみようか』という程度でしたが、詳しく伺ううちに『これはうちでもいけそうだ!』と感じました」と、平道グループマネジャーは2021年10月の初回打ち合わせについて述懐する。

NTTビジネスソリューションズは、食品残渣堆肥化事業のリーディング企業と提携し、2019年から「地域食品資源循環ソリューション」を提供している。「食品残渣発酵分解装置」に食品残渣を投入すると、サーベリックス(微生物)によって発酵分解され、約24時間で堆肥原料となる一次発酵物ができる。含水率や温度等、発酵分解の状況は、リアルタイムでクラウドシステムに送信して管理され、スマートフォンやタブレットでいつでも確認可能。一次発酵物はリサイクルセンターで完熟堆肥化され、提供農家に提供される仕組みだ。

サミット様は、12月には実機見学会に参加し、翌2022年1月から3月にかけてトライアルを実施して検討を進めた。

並行して、各種展示会に参加し、他の方式も比較検討。食品残渣の水分を飛ばして乾燥させる「乾燥型」、食品残渣を完全分解する「消滅型」についても比較検討対象とした。

  • ※アサヒバイオサイクル(株)が保有する微生物「枯草菌C-3102株」を利用した堆肥化促進剤

トライアルを経て、コスト面・運用面・環境面から判断

「乾燥型は、熱を加える過程で大量の電力を消費するため、環境負荷が大きいこと、また消滅型は処理により生成された分解水による排水設備への負荷の可能性があることから採用を見送りました」

「堆肥型」であるNTTビジネスソリューションズの「食品残渣発酵分解装置」は、レンタル提供で初期費用が不要であり、コスト面で優位性があった。また、運用も簡単で、装置に食品残渣を投入するだけの単純作業で済む。
最大のポイントは、最終的に堆肥になり、その堆肥を利用することで循環型でのリサイクル運用が取り組めること。これが、サミット様がNTTビジネスソリューションズの「地域食品資源循環ソリューション」を導入する決め手となった。

地域食品資源循環ソリューション
導入効果

発酵分解装置で食品残渣の容積が10分の1まで減少
運搬や焼却に伴うCO2も削減

店舗のバックヤードに設置した「食品残渣発酵分解装置」。ふたを開けて食品残渣を投入するだけでよく、運用は簡単

サミット様は2022年4月から一部店舗のバックヤードに「食品残渣発酵分解装置」を設置し、「地域食品資源循環ソリューション」の活用を開始した。

青果部門をはじめ各部門の商品化工程で発生した野菜残渣を装置に投入すれば、その容積は約24時間で10分の1程度にまで減少。廃棄物の運搬や焼却処理に伴うCO2排出量の削減にもつながっている。

導入店舗の青果部門チーフは「装置の蓋を開けて残渣を入れるだけなので、アルバイト社員の方でも簡単に操作できるのは大きなメリット」と話す。

地域内で食品資源が「循環」するリサイクルループを実現

さらに、取引先である千葉県の富里市農業協同組合(JA富里市)の協力を得て、食品残渣発酵分解装置の発酵物から生成した堆肥を使用して野菜を栽培。収穫した小松菜やホウレン草等の野菜の販売を2023年4月1日からサミットストア世田谷船橋店で開始した。

これにより、サミットストアから排出された食品残渣を堆肥化し、その堆肥を地域の農家に届け、その農家が育てた野菜をサミットストアで販売するという「循環型」のリサイクルループが実現した。

生産者と消費者の中間に位置する小売業は、両者と一緒になって、環境負荷の低減に取り組むことができる。

消費者の反応は上々。「地域の食品資源循環の取り組みを紹介する動画を制作し、店頭で流したところ、共感してくださるお客様も多いようで、販売は好調です。この取り組みに共感していただいていることもあってか、すぐに売り切れる状況が続いています」と平道グループマネジャーは手応えを感じている。

対象商品のロゴマーク

従業員のリサイクル意識が向上

最も効果を感じているのは、従業員のリサイクル意識の向上だという。バックヤードでの商品化の工程で発生した食品残渣を、自分たちの手で発酵分解装置に投入し、その食品残渣が一次発酵物となり、堆肥の原料になっていることが実感できるためだ。

「その堆肥を使って栽培した野菜が、商品として自分たちのお店に並び、お客様が喜んで買ってくださる。従来の外部委託によるリサイクルでは、社員が関わる部分はほとんどなく、事業者に任せて持って行ってもらうだけなので、リサイクルに参画している実感は湧きません。仮に『消滅型』の装置を選択していたとしたら、排水として流れていくだけで循環はしないため、意識は変わらなかったでしょう」

リサイクルの循環を目に見える形で実現できていることが、従業員一人一人の意識にプラスの効果をもたらしている。

「『GO GREEN』チャレンジ宣言の『小さなことからはじめてみよう』という動機付けと相まって、会社から言われたからやるのではなく、自発的な意思で『もっとしっかり分別しよう!』という気持ちが生まれていることは、素晴らしい効果であり、今回の取り組みで一番うれしかったことですね」と平道グループマネジャーは相好を崩す。

今後の展望

設置可能な店舗には全て導入し、野菜の販売店舗も順次拡大へ

導入してから約1年半を平道グループマネジャーが振り返る。

「NTTビジネスソリューションズは、回収量や装置の状況、また異物の混入状況等、さまざまなフィードバックをしてくれます。そのおかげで何か改善すべき点があればすぐに店舗に連絡して対応できるため、安心して運用できています。NTTビジネスソリューションズのきめ細かなフォロー体制には本当に助かっています」

こうした評価を受けて、導入店舗は2022年度に9店舗、2023年7月時点で13店舗に拡大。2023年度中に合計29店舗となる予定だ。「今後、設置可能な店舗には全て導入していく方針です」と話し、野菜の販売店舗も順次拡大していくという。

「NTTビジネスソリューションズには、発酵分解装置のようなハード面に限らず、私たちだけでは思いつかないようなソフト面のアイデアも提案してもらえるとありがたいですね」と今後の期待を語った。

企業紹介

サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする
サミット株式会社

設立 1963(昭和38)年7月29日
本社 東京都杉並区永福3-57-14
社員数 11,181人(正社員3,260人)(1日8時間、月20日換算による人数、2023年3月末時点)
事業内容 住友商事100%出資の食品スーパーマーケット。「嘘の無い仕事」を経営理念に掲げ、「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」との事業ビジョンの下、顧客・地域社会・取引先、そして働く社員も「みんながワクワクするスーパーマーケット」をめざしている。また、「生きる糧を分かち合うお店」をめざし、食材の提供にとどまらず、社会課題にも向き合い、スーパーマーケットの枠を超えた店づくりに取り組んでいる。
URL https://www.summitstore.co.jp/

営業担当者から

食品関連事業者様はもちろん、SDGsを推進したい多くのお客様に

食品資源の持続可能性を高めるには、生産、販売、再利用といった工程の全ての輪を循環させることが必要です。しかし、全てのサイクルを担えるようなサービスはあまりないのが実情です。NTTグループとして、IoTセンサーやAI等も活用しながら責任を持って取り組むことは、大きな意義があると考えています。

「地域食品資源循環ソリューション」は、食品ロス・廃棄コストにお困りの食品関連事業者様はもちろん、「循環」をキーワードとしていますので、SDGsへの取り組みを進めたい多くのお客様に活用いただけるものです。

複数ある食品残渣のリサイクル手法の中で、私たちが「堆肥型」に注力しているのは、「地域循環型社会」の実現に貢献できると考えているからです。店舗等に設置した発酵分解装置で生成した一次発酵物を堆肥化し、その堆肥を使って地域の農家が野菜を育て、その野菜をまた店舗で販売する。この「地域食品資源循環ソリューション」で提供している発酵分解装置は、従来の食品残渣処理装置では分解が難しかった、水分量が多い果物や肉類等の繊維質が多い食物を分解できることも強みです。

本ソリューションはこれまで、食品工場等の大型施設での導入が中心でした。スーパーマーケットという地域に密着した店舗で活用いただくことで、より生活者に身近な形で食品リサイクルの効果を感じていただければと思います。

NTTビジネスソリューションズ
バリューデザイン部
ソーシャルイノベーション部門
社会基盤ビジネス担当
川合 未玲