事例紹介大和クレス株式会社 様

事例概要

道路やトンネル、下水道、河川の護岸などに用いられるプレキャストコンクリート製品を製造する大和クレス様は、年末調整業務を長年担当していた社員が突然退職し、その年の年末調整業務をどう乗り切るかが喫緊の課題となっていた。検討の末、ＮＴＴビジネスソリューションズの「年末調整業務アウトソーシング」を導入したことにより、専門知識がないメンバーでも同業務をスムーズに完遂できただけでなく、従業員の申告作業も大幅に軽減される結果となった。

年末調整業務アウトソーシング
導入背景

働き方改革の先進企業でも「年末調整業務」は難題

大和クレスの小橋 健一管理課長は、「労働力不足については私たちも身に染みて感じており、デジタル化によって可能な限り効率化を進めています。また、できるだけ業務の属人化を避け、担当者に個別に仕事を割り振るのではなく、みんながそれぞれの仕事の内容を理解し、協力して業務を推進していくことで、突発的な事態にもみんなでカバーし合い、柔軟に対応できるような業務運営を心掛けています」と語る。

大和クレス様の社是には「工夫をこらしつつ、時間と物資を大切に働きましょう」との文言がある。勤怠管理や受注管理、経費精算、WEB会議等のシステムを積極的に導入し、業務を効率化して無駄な残業を削減する等の取り組みが評価され、2022年1月には「岡山働き方改革パイオニア企業」に選ばれている。

しかし、年末調整の時期を迎えるにあたり課題を抱えていた。

年末調整を切り盛りしてきた社員が突然、退職

一般的に年末調整は、各種保険料の控除証明書や住宅ローンの残高証明書等のチェックをはじめ業務が複雑。さらに、専門知識が求められる上、税制改正が頻繁に行われるため、最新の情報にも通じていなければならない。その半面、年末の短期間に業務が集中することから、増員や育成、引き継ぎ等もしづらいのが実情だ。

大和クレス様の年末調整業務を長年担当していた社員が退職したのは2022年春。「担当していた者が退職したことにより、詳しい内容が分かる者はほぼいなくなってしまいました。ある程度の知識や経験がないと、証明書等のチェックは難しいため、どのように乗り切ればいいのかと思案に暮れ、アウトソーシングすることも検討していました」と小橋課長は振り返る。

年末調整業務アウトソーシング
選定理由

負荷の大きいチェック作業まで安心して任せられることが最大のメリット

意外なところから課題解決に向けた情報を得ることができた。

「ネットワークのセキュリティについて、ＮＴＴビジネスソリューションズの担当者さんと打ち合わせたあと、雑談中に年末調整業務の話題になり、『年末調整業務アウトソーシング』を紹介されました。5月下旬ごろのことです。ＮＴＴビジネスソリューションズさんとは、クラウドPBXやVPN等のネットワーク関連のお付き合いが主でしたので、意外でしたが、『詳しく教えてほしい』とお願いしました」（小橋課長）

本格導入の前にデモを体験した小橋課長は
「最もメリットが大きいと感じたのは、証明書と申告内容のチェック作業までお任せできることでした。年末調整ではチェック作業の負担が重く、知識と経験がなければミスが生じるリスクも高くなります。その作業負担をなくすことができ、しかも正確にチェックしていただけるというのは重要なポイントでした」と選定の決め手を説明する。

「他社とも比較検討してみたところ、チェック作業までしてくれるところは見当たらず、コスト面でも優位性があると判断し、導入を決めました」

年末調整業務アウトソーシング
導入効果

異動1年目のメンバーが初めての年末調整業務を円滑に完遂

2022年に管理課に異動してきたばかりで、専門知識もほとんどない状態で年末調整業務を主導することになった山岡 滉平氏は、こう話す。

「初めて携わった年末調整業務を、何となくの知識しかない状態で、これほど滞りなく終わらせることができたのは、アウトソーシングのおかげです。アウトソーシングしていなければ、一から知識を習得し、逐一調べたり、試行錯誤したりしながらの作業になっていたと思います。年末はいろいろと業務が立て込んでいたため、他の業務に集中できたことは本当に助かりました」

仮に、年末調整業務を社内で対応する選択をして、慣れない業務に忙殺されていたとしたら、どうなっていただろうか。

山岡氏をサポートしてきた入社9年目の森元 皓平氏は、「管理部は、総務的な役割に加えて、経理的な業務も担っているため、業務が滞ってしまえば、各種の支払い、給与や賞与の支払い等にも弊害が出ていたかもしれません」と想像する。

証明書はスマホでクラウドにアップロード
従業員の申告作業負担も軽減

従業員にとっても、師走の慌ただしい時期に年末調整用の書類を準備するのは煩わしい。

「年末調整業務アウトソーシング」では、従業員は各種証明書をスマートフォンで撮影し、年末調整システムのクラウドにアップロードすれば、申告すべき情報はサービス側で入力するため、従業員が自分で計算などを行う必要はない※1。ただし、「年末調整業務アウトソーシング」を利用するには、全従業員のメールアドレスを収集しておくことが前提となる※2。

• ※1 証明書の原本は別途、会社に提出。扶養関係の入力は必要。
• ※2 紙の申告書を使用する郵送型のオプションサービスも併用可能。

ところが、大和クレス様には、工場に勤務する製造職の従業員も多く、会社のメールアドレスを付与していないことから、個人のメールアドレスを提供してもらう必要があり、全員の同意が得られるかが懸念された。

「私からは工場勤務の方を含む全社員に、従業員側のメリットも記載した周知メールを送付させてもらったのですが、工場の事務員さんが独自にQRコードを作成し、スマホで読み込めば簡単にアドレスを登録できる仕組みを作ってくれて、アドレスの収集はとてもスムーズに進みました」と、森元氏は事務員・従業員の協力に感謝する。

導入後の従業員の反応について、山岡氏は「当初は『これまでのやり方がいい』という声も一部ありましたが、やはり『写真を撮るだけで楽』とか、『システムの案内に沿って回答していけば簡単に終わる』という声が多く寄せられ、導入してよかったと思っています」と話し、手応えを感じている。

今後の展望

労働力不足の中、アウトソーシングやDXなども活用しながら業務を変革

今回のアウトソーシングを振り返り、小橋課長はＮＴＴビジネスソリューションズの進捗管理についても評価する。「年末調整は役所への書類の提出期限が決まっているため、そこから逆算して、いつまでに何をしなければならないのか、明確なスケジュールが立てられていました。その進捗管理のための連絡やアラートをきめ細かくフォローしてもらえたので、スケジュールどおりに進み、とても助かりました」

「年末調整に限らず、社員が定年等で退職していくと、組織としての“経験値”も徐々に低下していくのかもしれません。労働力不足の中、そこを補充するという視点だけでなく、アウトソーシングやDX等もうまく活用しながら業務を変革していきたいと考えています。ＮＴＴビジネスソリューションズには、電話やネットワーク、セキュリティばかりでなく、DX等トータルなサポートを期待しています」（小橋課長）

採用活動にも携わっている森元氏はこう語る。「DXをはじめ、最近ではカーボンニュートラル等、新しいことに積極的にチャレンジしていると、夢を持った学生からも注目してもらえます。人々の暮らしのすぐそばにあり、社会をより安全で快適にする大切な構造物であるプレキャストコンクリート製品のメーカーとして、自然環境や社会のニーズの変化に柔軟に対応できるよう、これからも新たなチャレンジを続けていきます」

営業担当者から

労働力不足には「社内の業務を切り出す」アウトソーシングの活用を！