このページの本文へ移動

Bizナレッジ

ICTで経営課題の解決に役立つコラムを掲載

生産性向上

導入期からの転換が見えてきたローカル5Gの最新事例を多数紹介!共催ウェビナーレポート

local5g_202504_top.png

2019年に制度化されたローカル5Gは、2025年度に向けて導入期から普及期への転換を迎えつつあります。

NTTビジネスソリューションズは、2025年2月26日に共催ウェビナー「2025年最新事例を多数紹介!ローカル5Gを活用した製造・物流業界のDXとは?現場担当者より解説!」を開催しました。

本レポートでは、NTTグループでもローカル5Gの導入実績が特に豊富なNTT東日本でローカル5Gにおける新規アライアンス戦略の企画からパートナー開拓/協業ビジネス推進を担当する遠藤氏と、NTTビジネスソリューションズの「ローカル5Gサービス」主管の荒木氏の2名による講演内容をダイジェスト版でご紹介します。

お伝えしたいポイント

ローカル5Gならではの「強み」「利用シーン」「導入」について

  • 特に適している利用シーンは「広域エリア利用」「端末側の 移動利用」「同時多接続」「大容量通信」の4点。
  • 業務DXを推進するソリューションの複合的な運用が 可能となり、幅広い業務連携を支える通信インフラとして注目されている。
  • ローカル5Gサービスは設計から運用保守まで、お客さまで無線の有資格者を 育成・確保しなくてもご利用可能、これから検討をはじめられる方におすすめ。

ローカル5G「最新事例・ユースケース」

製造・物流拠点で、高精細カメラを複数活用した遠隔作業支援や現場把握の高度化など、業務効率が向上したユースケースが増加。ローカル5Gの社会実装が進んでいる。

第一部 ローカル5Gとは?他の無線規格にはないローカル5Gの特徴と導入に必要な準備について

講師:NTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部 ローカル5G担当 マネージャー 荒木 佑馬氏

ローカル5Gとは

ローカル5Gは企業や自治体などがエリアを限定して構築する専用の5Gネットワークです。スマホ等で使われているキャリア5Gと異なり、企業自ら運用するプライベートネットワークとして利用するのがローカル5Gで、今回ご紹介する製造業の領域でだけでなく、農業、医療、港湾、空港、建設業、スタジアム等、かなり広い敷地で無線ネットワークを使う必要がある業種やより高品質な無線ネットワークが必要となる業態で活用が進められています。

ローカル5Gの特徴

ローカル5Gには、大きく3つの特徴があります。

  • 少ない設備で広域エリアに高速大容量の安定した通信が可能
  • AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行ロボット)などの移動体、動くものを安定して運用することが可能
  • ユースケースに応じた上り下りの通信比率の調整が可能(準同期TDD/同期TDD)

ローカル5Gが強みを発揮する領域

local5g_202504_01.png

図1:ローカル5Gが強みを発揮する領域

さらにWi-Fiやキャリア5Gと比較してみると(図1)、ローカル5Gが強みを発揮できるのは以下の領域です。

  • 広域エリア利用・・・1つのアンテナでカバーできるエリアが広がる
  • 端末の移動利用・・・通信が途切れにくいハンドオーバー機能
  • 同時多接続・・・数百台のデバイス(IoTセンサー、スマホ、タブレット等)を同時接続することが可能
  • 大容量通信・・・4Gより高速で、高精細な映像のリアルタイム通信が可能

幅広い業務連携を支える通信インフラとしてローカル5Gは活用することができますので、今後、スマートファクトリー等を検討される際には、選択肢の1つとして考えていただければと思います。

DX推進の取り組みとローカル5Gの関係性

local5g_202504_02.png

図2:DX推進の取り組みとローカル5Gの関係性

製造工程全体の最適化や、中期的な業務DXで「事業機会の拡大」を実現するにあたっては、具体的なロードマップの検討が必要です。また、複数の取り組みを並行して実現、推進していくために、通信環境の高度化が求められます。

ロードマップの例(図2)では、ローカル5Gを先行導入しており、高度な安定した通信環境を準備することで、後工程の現場機能の全体最適化や事業拡大などの目標に向けた各種施策が、進めやすくなります。

  • STEP1 既存端末の活用
    現在使用しているPC、タブレット、防犯カメラなどを有線から無線に乗り換えることで、既存端末の活用シーンが広がる。
  • STEP2 新規端末の利用
    音声通話やスマートグラスなど新しい端末の利用が可能になる。
  • STEP3 先進的取組・事業化
    ロボットの活用など、新しい事業領域として開拓し、チャレンジしていく。

このように、段階を踏みながら、各STEPに取り組みやすくする前提として、ローカル5Gのような安定した高度な通信環境を最初に整備しておくことが重要です。

ローカル5Gサービス(ギガらく5G)について

ローカル5Gの導入のフローとしては、エリアの設計、ネットワークのシステム設計、免許申請、構築、運用、保守が挙げられます。特にローカル5Gの場合、無線の有識者でなければシステム設計や免許申請の実施が難しいことが、導入にあたっての課題として挙げられていました。

local5g_202504_03.png

図3:ローカル5Gサービス(ギガらく5G)について

NTTビジネスソリューションズが提供しているローカル5Gサービス(ギガらく5G)では、お客さまのローカル5G導入をワンストップで支援しています。

同サービスに含まれる内容(図3)は、

  • 初期のコンサルティング設計(エリア調査・現場調査も含む)
  • 実際の導入、物品調達
  • 導入後の運用、保守

です。

免許取得もお任せいただけるので、Wi-Fiに近い形で簡単にネットワークをご利用いただけます。お客さまで無線の有資格者を 育成・確保しなくてもご利用可能なので、まずはローカル5Gを始めてみたい時に最適なサービスとなっています。

第二部 ローカル5G 最新事例・ユースケース紹介

講師:東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 5G/IoT企画担当 遠藤 圭一郎氏

NTT東日本が提供するプライベートワイヤレスNWのラインナップ

NTT東日本は企業向け無線ソリューションにおいてWi-Fiサービスをはじめとした多様なプライベートワイヤレスネットワークの提供実績を有しています。ローカル5Gでは、総務省さまの開発実証の参加をはじめ、国内トップクラスの実証参加、構築実績を有しています。

製造・物流拠点でのユースケース

製造・物流拠点におけるローカル5Gのユースケースをご紹介します。

local5g_202504_04.png

図4:製造・物流拠点でのユースケース
  • AI画像解析で自動化・・・4系統の高精細映像と伝送ロスを軽減し、AI画像解析による検知率の向上や、自動化によるヒューマンエラーのコスト削減を実現しています。
  • 多数のAGV・AMR/フォークリフトを制御・・・個別に安定制御することが可能なため、搬送業務の効率化を実現。搬送業務をロボットで代替することで、工場従事者の怪我防止や労災の減少を実現しています。
  • 広域無線エリア化・・・スマートファクトリーを支えるインフラとして広域無線LANをエリア化することにより、広大な工場の敷地全体をローカル5Gで無線カバーすることが可能です。

導入事例① 港湾ターミナルの広域無線LAN(夢洲コンテナターミナル様)

local5g_202504_05.png

図5:導入事例① 港湾ターミナルの広域無線LAN(夢洲コンテナターミナル様)

2025年大阪万博開催地に隣接し、日本で2カ所5港のみが指定されている国際コンテナ戦略港湾の夢洲コンテナターミナル様は、横が1,450m、縦が500mという広さがあり、これまでは4.9GHz帯の無線を使用されていました。令和3年度、4年度の総務省ローカル5G開発実証より、NTTビジネスソリューションズがローカル5G環境を構築し、環境整備を支援しています。

導入背景

  • クレーンやコンテナが目まぐるしく移動する中で、どうしても通信の死角が発生し、通信が不安定になる場所がありました。
  • DX化が進む中で、クレーンの遠隔操作やリアルタイムの映像伝送の必要性が高まり、より安定した通信インフラの導入が求められている状況でした。

導入状況

ローカル5Gアンテナをコンテナターミナル照明塔に8装置設置することで、コンテナターミナル全域を電波カバーしています。

今後の展望

現在は既存の無線システムと併用しているが、将来的に、ローカル5Gへ一元化し、リアルタイムのコンテナプランニングや遠隔操作活用も視野に入れ、港湾、物流の更なる最適化をめざしています。

導入事例② 製造拠点での広域無線 LAN(株式会社日本海水 赤穂工場様)

local5g_202504_06.png

図6:導入事例② 製造拠点での広域無線 LAN(株式会社日本海水 赤穂工場様)

株式会社日本海水 赤穂工場様は、塩の生産量で日本一を誇る工場で、敷地も東京ドームの1.5個分という非常に広い敷地を持っておられます。ローカル5Gが必要とされる部分を検討した結果、屋内に2つ、屋外に2つ、計4基地局を導入していただいています。

導入背景

  • 工場内に電波の障害となる金属や、コンクリートで覆われたプラントが至る所にあり、Wi-Fiを導入すると、アクセスポイントの数がかなりの台数になってしまう。
  • ローカル5Gは自営網としての安定性と柔軟性を兼ね備えており、SIM認証によって接続端末を制限する強固なセキュリティーを確保したかった。

導入状況

ローカル5G基地局を屋内外に4装置設置し、広大な工場敷地全域(8万㎡)に工場DXの実現に必要な信頼性の高い広域無線通信基盤を整備しています。

今後の展望

将来的にIoTセンサなどを多数接続するだけでなく、工場DXに向けた社内気運を高め、人とデジタル技術の調和した工場に実現に向けたボトムアップでの各種取り組み推進をめざしています。

導入事例③ テストコース走行における映像伝送

local5g_202504_07.png

図7:導入事例③ テストコース走行における映像伝送

自動車メーカー様のテストコースによる活用事例をご紹介します。 自動車開発において、テスト走行時の高精細映像データや大容量の車両データをアップロードするためにローカル5Gが活用されています。
また、リアルタイムでの作業指示やコミュニケーションが取れないという課題も、ローカル5Gを活用していただくことで遠隔地の作業支援や、コミュニケーション向上が実現しました。

導入事例④ 物流倉庫での AMR/AGF 活用

local5g_202504_08.png

図8:導入事例④ 物流倉庫でのAMR/AGF活用

物流倉庫でのユースケースについてご紹介します。2024年に基地局11台を導入いただきました。ローカル5GのマルチDNN(データネットワークネーム)を活用することで入庫テナントさまごとに用途が異なる場合でも効率的で高度なネットワーク管理を行うことが可能となります。また、キャリア回線が入りにくい環境を改善し、業務用タブレットの通信インフラとしてご活用いただいています。

NTT東日本のラボ施設について

local5g_202504_09.png

図9:展示施設のご紹介(ローカル5Gオープンラボ)

東京都調布市にNTT東日本がローカル5Gの社会実装を目的に東京大学と産学共同で国内初のローカル5G検証環境を設立しております。また、スマート製造の実証フィールドとして設立した「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジステックスラボ」では、入庫から出庫まで、一連の製造工程において、ローカル5Gを利用して、様々な設備、機械を稼働させ、ファクトリーオートメーションを体感していただけます。2024年1月のオープン以来、製造業さまを中心にご見学いただき、実験施設としてご活用いただいている施設です。

ウェビナー参加者の声

A社さま

ローカル5Gについて他の無線規格との違いや特徴を分かりやすく把握することができてよかったです。
実際の導入事例についてはこれまであまり聞いたことがなかったため参考になりました。

B社さま

工場のネットワーク環境について見直しを検討中のため参加しました。具体的な費用についても伺い、他の無線通信手段と比較検討したいです。

まとめ

ローカル5Gは産業DXに必要な「高速・大容量通信」の安定利用を実現し、アップリンク通信の比率を偏重、広範囲のエリアカバーで、SIM認証により高いセキュリティー下で無線ネットワークを利用することが可能です。また、高精細カメラを複数活用した遠隔作業支援や遠隔監視による現場把握の高度化等、DXツールと組み合わせて業務効率の向上を実現します。さまざまな分野で社会実装が進むローカル5Gにご期待ください。

あわせて読みたいナレッジ

関連製品

サービス内容やご不明な点など、お気軽にご相談ください。