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労働力不足の解消

【イベントレポート・後編】人事部必見!勘と経験に頼らない科学的採用メソッド

【イベントレポート・後編】人事部必見!勘と経験に頼らない科学的採用メソッド

「採用」は、企業の成功を左右する鍵の一つであり、とりわけ長期雇用がメインの日本では、新卒採用を中心とした効果的な人材獲得が重要な課題となっています。NTTビジネスソリューションズでは、新卒採用活動が本格化する前の2024年2月15日(木)に、オンラインセミナー「人事部必見!勘と経験に頼らない科学的採用メソッド」開催しました。
T&Dコンサルティング代表の増子裕介氏をゲストに迎え、採用を成功させるために欠かせない科学的メソッドを、基調講演とトークセッションの2本立てで深掘りしました。

イベントレポート後編では、第2部で実施したトークセッションの内容をダイジェストでご紹介します。

【基調講演】これからの時代に求められる「優秀人材」~その定義と育成メソッド~

第2部からは、人事・育成担当での経験を持ち、現在HR系サービス「キャリアナビゲーションtotoma」の開発チームを率いるNTTビジネスソリューションズの成田 佳郎がトークセッションのモデレーターとして参加し、「科学的採用メソッドの浸透・実践」というテーマでトークセッションを開催しました。第1部の基調講演で扱った採用メソッドをどのように実践・浸透させていくのかを深掘りしました。

成田)
第2部では「科学的採用メソッドの浸透・実践」と題しましてトークセッションを開催します。論点は次の2点を設定しています。

①「構造化された面接/グループワーク」を実践する上での注意点
②「クリエーティブ&イノベーティブ人材」を見極めるメソッド

「構造化された面接」をどのように設計するのか?

「構造化された面接」をどのように設計するのか?

セミナー投影資料より

まずは①「構造化された面接/グループワーク」を実践する上での注意点から議論させてください。
構造化面接/グループワークを大きく分けると「設計・準備段階」と「実施段階」の2つに分類できると思いますが、それぞれの注意点を深掘りしたいと思います。
まずは、前者の「設計・準備段階」に関して増子さんのご意見をいただけますでしょうか。

増子)
先程の基調講演でご紹介した「構造化面接」の有効性をご説明すると、殆どのクライアントが「確かに」と納得して取り組んでみようとするのですが、つまずきがちな部分があるので、そこに関してご説明します。
まず設計・準備段階でいうと、ファジー(曖昧)な見極め項目を設定してしまうというパターンです。
例えば「リーダーシップ」や「人柄」といった項目を設定しているクライアントが多いのですが、これでは評価項目になっていません。

成田)
「リーダーシップ」とか「人柄」というこの言葉自体の粒度が粗過ぎるということでしょうか?

増子)
そうです。このような単語レベルの言語化では、人によって解釈がバラバラになってしまいます。
次に、使用に耐えない意味不明な採点基準を設定しているケース。例えば、ストレス耐性を「劣る/標準的/優れている」という3レベルで評価する場合、人によってどのように線引きをするかが不明確ですよね。

「構造化された面接/グループワーク」実践する上での注意点

セミナー投影資料より

ですから設計段階では、「解釈のブレが生じにくい見極め項目を設定し、各レベルの定義を文章化すること」が求められます。基調講演で申し上げたように、例えば「挑戦意欲」であれば「×」「△」「〇」それぞれに対応した評価基準を文章化しなければなりません。

成田)
ありがとうございます。「見極め項目を設定すること」と「各レベルに該当する定義を言語化すること」の2つの要素が重要であるということですね。
私も当社で採用に関わっていた人間で、まさしく「劣る、標準的、優れている」といった粗い粒度での評価方法が横行していた時代に現場にいましたが、これでは人によって評価がブレブレになるので、評価基準を明確に定義することの重要性を実感しています。
(投影の資料では)「×」「△」「〇」で評価を分割していますが、これは3段階以上に分類する必要はないのでしょうか。

増子)
「標準」を中心にして「マイナス」と「プラス」は評価軸として分かりやすいと思いますが、無闇に数を増やして5段階などにしてしまうと、かえって話がややこしくなると思います。その差分を明確に定義できるならいいのですが、実際は難しいのではないでしょうか。

構造化面接の「設計・準備段階」で注意すること

構造化面接の「設計・準備段階」で注意すること

セミナー投影資料より

増子)
さらに、「設計・準備段階」でのありがちなのは根拠不明な「見極め項目」を設定してしまうことです。
面接でのチェック項目として、「立て板に水(※すらすらとよく話すさま。弁舌の流暢なさま)」をマイナス評価にしている会社がありました。一般的には「頭の回転が速い人」の特徴なので、プラス評価とすべきですが、「役員が嫌いなタイプだから」という理由でマイナス評価をつけていたのです。特定の項目をプラス/マイナス評価とするのは各社の考え方次第ですが、「なぜその項目がプラス/マイナスなのか」の根拠を確認し、属人的な好き嫌いを排除した評価基準を設計しなければ、このケースでは頭の回転が速い優秀な人材をむざむざ取り逃すことになるので、非常にもったいないことをしているわけです。

一見地味なステップですが、きちんとしたマニュアルを作り、基調講演でお話した「人を一人雇うのは3億円の投資だから勘と経験でやるべきではない」というロジックも含めて採用担当者全員を腹落ちさせる必要があります。

「俺は人を見る目がある」と自称し、面接で勝手なフリートークを始めたがる人も多いですが、そういった逸脱を許さず、「なぜ構造化面接をするのか」や「すべきこと/すべきではないこと」を、その理由まで説明したマニュアルを作成し、可能であれば模擬面接を実施しましょう。実際に模擬面接をやってみると、人によってどれほど評価がブレるのかが体感でき、評価の難しさと採点基準の重要性を理解できるはずです。それでも重要性を理解できない人には、採用面接の業務を外れていただくぐらいの姿勢で臨まないと構造化面接はうまくいきません。
最後の最後で役員が「ピンと来た/来ない」などと口走り、それまで積み重ねてきた評価をひっくり返すこともありますが、非論理的な勘でしかないので、ろくなことになりません。

構造化面接の実施段階で注意すること

増子)
「実施段階」におけるありがちなミスは2つあります。

一つ目は「『評価ギャップが生じた場合のすり合わせ』を行わない」です。

採点基準を用意しても評価者によってギャップは生じ得るので、そのギャップがなぜ生じたのかを、採点表を参照しながらすり合わせていく必要があります。点基準を用意することで、評価にズレがあっても、基準に照らし合わせて、なぜ「×」なのか「△」なのかをファクトベースで議論できます。

成田)
なるほど。面接官をされる方は役職が上位の方と一緒に面接をして、最後に意見が分かれると、上位の方の意見が通るというのが常設のように思いますが、今、ご説明をいただいた明確な基準があれば、「基準に基づいてどうなのか」というのをチェックしてすり合わせができるということですね。

増子)
基準がないと、「俺は○と思った」あるいは「私は×だと思った」といった印象論に終始し、建設的な議論になりません。そのような事態に陥らないために、明文化された物差しを用意しておくことは極めて重要です。特に年功序列が強い日本だからこそ大事だと思います。

成田)
まさにいいものを準備しても、実施段階がグダグダになると全く意味がないということですね。

増子)
はい、その通りです。2点目の「『PDCA』の不徹底」に関しては、採用時の評価と入社後のパフォーマンスの相関を見る必要があります。例えば「採用した人物が3年後にどういうパフォーマンスを発揮しているのか」をチェックして、その会社なりに「見極め項目」と「採点基準」をブラッシュアップをしていけば、精度を上げていくことができます。ここまでできればベストですね。

成田)
先程、基調講演で増子さんからお話があった通り、人一人採用すると約2億から3億の投資になるということを意識して、採用の成功率を上げていく営みが必要ということですね。

「クリエーティブ&イノベーティブ人材」に共通する特徴

「クリエーティブ&イノベーティブ人材」に共通する特徴

セミナー投影資料より

成田)
ここからは2つ目のテーマである「クリエーティブ&イノベーティブ人材」を見極めるメソッド」について伺えればと思います。メソッドびところを具体的にお話する前にまずは、「クリエーティブ&イノベーティブ人材」というのが、どのような特徴を持つ人材なのか?を是非お聞きできればと思います。そのうえで、「どのような能力をどのような手法で見極めるのか」といった具体的な方法をお聞きさせてください。

増子)
電通のトップクリエイター数十名に加え、IT企業で新規サービスを開発した方や、家電メーカーで画期的なヒット商品を作った方々にデプスインタビューを行い、イノベーティブな人がどのような思考・行動様式を持っているのかを分析しました。その結果、イノベーティブ人材に共通する特徴が2つ抽出されました。
一つ目は「ロジカルに分析し、クリティカルに見直し、クリエーティブにジャンプする」という思考ステップを踏んでいるということです。アイデアの話をすると「降ってくる」とか「降りてくる」みたいな話をしがちな人が多いですが、実はそうではないのです。一発屋ではなく、継続的かつ安定的に優れたアイデアを生み出している人達は、極めてロジカルに対象物や課題を因数分解し、その上で批判的な視点から見直し、最後の最後にクリエーティブジャンプするというプロセスを踏んでいるから打率が高いのです。ポンポンとアイデアが浮かぶ人がアイデアマンなわけではなく、数学的な思考様式を持っている人がイノベーターには多いということが分かりました。「天から降ってくる」という方もいますが、そういう方は一発屋で終わるのではないでしょうか。

もう一点の「他者からのダメ出しをプラスに捉える」という項目もポイントで、「イノベーティブな人」と言われると、自分の意見にこだわりそうなイメージがあるので少し意外ですよね。もちろんアイデアは自分で考えるのですが、他者からの指摘を素直に受け止めてブラッシュアップできる人こそがイノベーティブ人材だという、やや意外な事実があるので、採用段階で「我が強い人」といった正反対の特徴を持った人を選んでしまうとお互いが不幸になるということは強調しておきたいですね。


成田)
なるほど。「論理的な思考」と「柔軟性」が、極めて重要な要素であるということですね

「クリエーティブ&イノベーティブ人材」をどのように見極めるのか
~個人ワーク編~

「クリエーティブ&イノベーティブ人材」を見極めるメソッド

セミナー投影資料より

増子)
いま申し上げた特徴を、個人ワークとグループワークでチェックする際のポイントがあります。
まず個人ワークでは、アウトプットのクオリティとベクトルをチェックします。
クオリティは文字通り品質で「良し悪し」を、ベクトルはアウトプットの方向が「良し悪し」とは別に「ポジティブかネガティブ」であるかを見ていきます。ネガティブな方向でクオリティが高いアウトプットを出す人が入ってしまうと、商品の良い部分をアピールすることを求められる広告業界ではうまくいかないわけです。このような事態を避けるためにも、表現性のベクトルまで見ることをお勧めします。

成田)
「クオリティ」というのはよくわかる話ですけど、「どのベクトルでクオリティを発揮しているのか」というところも見るべき重要な要素であるということですね。なかなか気付かないポイントだと思います。

増子)
「瞬発力」と「持久力」も重要な要素です。先ほど「アイデアが降りてくる」というタイプを否定しましたが、その場でポンポンアイデアが出せるという能力も時と場合によっては必要です。
それに加えて、すぐに答えが出ない課題を1週間や1ヶ月考え続けるという長距離走的な持久力も求められるので、この2つを両方持っているかをチェックしたいところです。

「クリエーティブ&イノベーティブ人材」をどのように見極めるのか
~グループワーク編~

増子)
個人ワークだけでは見極められない部分もあるので、グループワークも組み合わせるべきなのですが、「スタート時点から全員での議論は行わない」ことがポイントです。なぜかというと、継続的に成果を出せるイノベーティブ人材は、まずは一人で考え、その上で他者からの意見を取り入れながら、より良いものにしていくというプロセスを踏んでいるからです。まずは自力でアイデアを出したうえで、他者からの指摘を受け入れて変えていく、あるいは他者が出したアイデアに自分なりの要素をトッピングしていくことができるか。この2つが重要なので、そこをグループワークでチェックすると、会社に入って活躍できるイノベーティブ&クリエーティブ人材を選ぶことができると考えています。

成田)
なるほど。まずは個人ワークをして、ワークの個人アウトプットをベースとして議論するという段階的な手法を取るということですね。

増子)
そうです。個人としてのアウトプットのクオリティもさることながら、グループワークに移った時の思考・行動様式をチェックすべきです。自分のアイデアにこだわるタイプなのか、あるいは人のアイデアであっても喜んで受け入れて、そこにプラスのアイデアを乗せていける人なのかを見極めるわけです。

▼フルの映像でご視聴になりたい方はコチラ

Q&A

Q&Aイメージ画像

セミナーのお申込み時、当日のチャット欄で募集した質問と回答を一部ご紹介します。
ご質問いただいた参加者のみなさま、誠にありがとうございました。

Q)
今回のテーマから外れてしまいますが、新規採用社員と既存社員との能力差が広がっていると感じます。有能な社員を採用できることはいいことですが、今いる社員に対して時代に沿った能力を身につけてもらうための取り組みについて、先行事例も含めて教えていただけますでしょうか。

A)
増子)
質問いただいた方の会社では、最近の採用がうまくいっているために優秀な人が採れすぎて、既存社員とのギャップが広がっているという前提でお答えします。
まず、「どの能力にギャップがあるのか」をきちんと把握することが重要です。
例えばイノベーション能力なのか、コミュニケーション能力なのかを見極めた上で、特定の能力のギャップをリスクリングで埋めていくということではないでしょうか。問題を特定せずに「中高年にDX能力を習得させるんだ!」みたいなことをすると、何の効果もないばかりか、事態を更に悪化させかねません。
また、何も考えずにサブスク型の研修プログラムを契約し、「好きな項目を受講してください」というのも百害あって一利なしだと思います。

成田)
なるほど。この「時代に沿った能力」っていう定義も解像度が低いので、まずは「どんな時代」であるかもそうですし、今回ご質問いただいた会社さんにとって「どんな能力が必要なのか」を設定した上で、その能力値を測りながら課題を明確にしていくということですかね。


NTT-BSのスキル可視化サービス「キャリアナビゲーションtotoma」

2. NTT-BSのスキル可視化サービス「キャリアナビゲーションtotoma」

採用においては、人材に求める思考・行動と知識・スキルを言語化し、設定した人材要件と候補者のギャップを把握することがポイントです。「スキルにフォーカスしたHRプラットフォームサービス・キャリアナビゲーションtotoma」は、市場で求められる職種別スキルを詳細まで言語化した「ジョブディスクリプション」を活用し、ポジション別のスキル要件と社員一人ひとりの現状スキルを可視化して一貫した人事業務へと繋げます。

豊富なジョブディスクリプション

  • 代表的な職種40以上をカバーするジョブディスクリプション・テンプレートをご用意
  • 各職種の業務だけでなく、それを実行するために必要なスキル、資格、経験も詳細に定義

職種別スキルを可視化するスキル診断

  • 各職種を構成する業務内容と能力をレベル別に質問
  • YES、NOの2択でわかりやすい回答形式

スキル状態とアドバイスをまとめたスキルカルテ

  • スキル診断の結果と目指すレベルとのギャップを可視化
  • スキル向上に向けた個人別のアドバイスコメントを記載

スキル向上につながるリスキリングプログラム

  • 個人のスキルレベルに合わせたプログラムやコンテンツをレコメンド
  • 普遍的なビジネススキルであるポータブルスキルをオリジナルコンテンツでご提供

キャリアナビゲーションtotoma

まとめ

今回のレポートでは、2024年2月15日(木)に開催したオンラインセミナー「人事部必見!勘と経験に頼らない科学的採用メソッド」の内容をダイジェストでご紹介しました。NTTビジネスソリューションズでは、こうしたセミナーを定期的に開催し、ICTを用いた経営課題の解決に役立つ情報発信をおこなっております。ぜひ、今後のセミナー情報もチェックしてみてください。

NTT-BSのイベント情報

関連リンク

キャリアナビゲーションtotoma
https://www.nttbizsol.jp/service/totoma/

キャリアナビゲーションtotomaに関するお問い合わせ
https://form.nttbizsol.jp/inquiry/totoma

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