ICTで経営課題の解決に役立つコラムを掲載
クライアント端末更改の負担をどう減らす?
FAT端末の課題とDaaS移行3ステップを解説

業務用端末の物理的な寿命やOSのサポート終了に伴い、数年周期で発生するクライアント端末の更改。ユーザーである社員にとっては業務環境改善の機会となる一方、情報システム部門にとっては旧端末の回収や新端末のキッティング(初期設定)等、大きな運用負荷が生じます。その主要因は「FAT端末」の存在です。
実は、クライアント端末の更改は、単なる更新作業ではなく、運用そのものを見直す絶好のチャンスにもなり得ます。
本記事では、業務用端末としての「FAT端末」の課題を整理したうえで、運用効率とセキュリティーを両立する選択肢として注目される「仮想デスクトップ(DaaS ※1)」について解説。導入時の注意点や失敗を回避するための実践的なステップもあわせて紹介します。
- ※1 Desktop as a Serviceの略称です。
情報システム部門を悩ませる「FAT端末」運用の2つの課題
従来の業務用端末は、HDDやSSDが内蔵されたFAT端末が主流でした。端末のローカルストレージにOSやアプリケーション、業務用のデータを保存するFAT端末は、オフライン環境でも作業を行うことが可能で、高精細な動画の編集や3次元CAD等、負荷の高いタスクをローカルで完結できる等の利点があります。
しかし、課題も顕在化しています。
【課題1】キッティングやパッチ適用等の運用・保守負荷
まず、運用管理面の負担です。

端末更改や人事異動等のたびに、新規端末の通電確認から周辺機器の接続確認、OSのインストール、ネットワーク設定、業務に必要なアプリケーションのインストール、各種ドライバーの設定、各種のセキュリティ設定等が必要となります。
随時、対応が必要となるOSのセキュリティパッチ適用やアプリケーションの更新は台数が多いほど煩雑です。一括配信ツール等の普及によって更新作業の自動化は進んでいるものの、電源やネットワーク接続がオフになっている端末に関しては、パッチの適用状況等を即座に把握することができません。また、例外設定が施された端末については個別の対応が必要になる等、依然として運用担当者の負担となり、本来取り組むべき戦略的な業務のための時間を奪われているのが実情です。
【課題2】端末の紛失・盗難による情報漏えいリスク
さらに無視できないのが情報漏えいリスクです。
働き方が多様化し、場所にとらわれずに働く「リモートワーク」や、オフィスワークとリモートワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」等が普及したことで、端末を社外へ持ち出す機会は増えています。万一、端末を紛失したり、盗難に遭ったりすると、どのような事態が起こるのでしょうか。
ハードディスクの暗号化やファイル単位での暗号化、リモートワイプ(遠隔消去)等、各種管理ツールの導入といった対策を講じていたとしても、業務データがローカルストレージに物理的に保存されるFAT端末は、構造的に情報漏えいリスクを内包しています。
「仮想デスクトップ」がもたらす運用環境の変化
このような課題の解決策として有力な選択肢となるのが「仮想デスクトップ」です。

OSやアプリケーションは端末側ではなく、データセンター内の仮想化基盤上で稼働。ユーザーである社員はネットワーク経由で仮想デスクトップに接続し、仮想化されたデスクトップ画面を端末上に表示して操作します。
業務データの保存や処理はすべてサーバー側で行われるため、端末側にはデータが残らず、情報漏えいリスクの低減にもつながります。
【解決策1】多数のクライアント端末をサーバー側で一括管理
物理的なクライアント端末を個別に管理する従来型の運用から、仮想デスクトップをクラウド上の仮想化基盤に集約・一元管理する方式へと移行することで、運用環境は大きく変化します。

たとえば、OSやアプリケーションのバージョンアップ、パッチ適用等も管理サーバーから操作することができ、「ゴールドイメージ※2」の設定を変更するだけで、紐付いているクライアント端末に一括で反映させることが可能です。クライアント端末ごとの設定は不要になり、情報システム部門の運用・保守負荷を大幅に軽減します。
- ※2 「マスターOS」「マスターイメージ」とも呼ばれます。
【解決策2】クライアント端末に
ユーザーは、クライアント端末からネットワーク経由でサーバー上の「仮想デスクトップ」にアクセスし、仮想化されたデスクトップ画面を手元の端末に表示して作業を行います。

業務データはサーバー側に保存され、実際のデータの処理等もすべてサーバー上で行われるため、ユーザーの手元にあるクライアント端末には、デスクトップ画面の遷移情報だけが転送されるという仕組みです。
ユーザーの手元の端末は、いわば単なる表示装置として機能するイメージです。端末側に業務データが保存されない構成とすることで、万一の紛失や盗難時にも情報漏えいリスクを最小化できます。
失敗しない「仮想デスクトップ」移行を実現する3つのステップ
さまざまなメリットのある「仮想デスクトップ」ですが、万能というわけではありません。適している用途もあれば、不向きな用途もあります。
多くのクラウドサービスやSaaSは、ベストプラクティスに基づいた標準機能を前提としており、ユーザー企業が自社の業務プロセス等をサービス提供側の設計思想に合わせて変更していくことが一般的です。
しかし、「仮想デスクトップ」は日々の業務環境そのものを支える基盤です。単純に標準機能に合わせて移行してしまうと、現場に多大な影響を及ぼしてしまうため、自社固有の業務特性に合わせた設計や、既存の業務システムやアプリケーションとの密接な連携等が求められます。
NTTビジネスソリューションズのクラウド型仮想デスクトップサービス「AQStage 仮想デスクトップ」は豊富な導入実績があり、多種多様な業種で培われたさまざまな知見やノウハウをもとに、企業ごとの業務特性に応じて柔軟に対応することが可能です。

システム移行において失敗や後悔をしないための要諦は、事前に十分な検証プロセスを経ることです。「AQStage 仮想デスクトップ」は豊富な導入実績をベースとして、円滑な導入を実現するためのプロセスやノウハウを体系化しています。
以下では、実際の導入支援プロセスを例に、実務に即した進め方を紹介します。

【ステップ1】課題の洗い出しと計画策定
第1歩は、「何のために導入するのか」という目的と利用シーンの明確化です。まず、営業担当が目的や利用方法、ユーザー数等を含めた綿密なヒアリングを行い、お客さまの利用用途に合わせて仮想化する場合の課題を漏れのないように洗い出して整理します。そのうえで、お客さまにとっての最適な環境を構築するためのコンサルティングを実施します。
とくに、高精細な動画の編集や3次元CAD等の高負荷業務は、初期段階で確認しておくべき重要なポイントです。また、通信ネットワークの帯域不足や遅延は操作性に直結し、導入後のユーザー満足度を大きく左右します。すべてを仮想化するのではなく、業務内容によっては従来のFAT端末を残すハイブリッド構成が現実的なケースもあります。
このように、初期段階で適合・非適合業務を切り分けておくことは、失敗を避けるためにも不可欠です。
コンサルティングの結果を踏まえて「全体構成」を設計し、導入に向けた「全体計画」を策定します。
【ステップ2】PoC(概念検証)による動作検証
本番導入へと進む前に、PoC(Proof of Concept:概念検証)を実施。本番環境とは別に、自社の業務環境に近い検証環境を構築し、実際の業務アプリケーションの動作確認やユーザー操作感の検証を行います。
とくに、ユーザー部門からのフィードバックを入念に収集しておくと、懸念点への対策を講じることもでき、現場にとって快適な業務環境の構築へとつながります。標準的なオフィスソフトだけでなく、各現場の主要なアプリケーションの動作や操作感を、実際の業務フローに近い形で検証しておくことが、失敗しないためのポイントです。
「AQStage 仮想デスクトップ」には、「レディメイドPoC」と「オーダーメイドPoC」のメニューが用意されており、目的に合わせて選択することができます。
- レディメイドPoC(検証期間:無償1ヵ月、有償3ヵ月)
- あらかじめ用意された標準的な検証環境を利用
- 仮想デスクトップがどのようなものか、操作感等を短期間で手軽に体験可能
- 有償ではインターネットでユーザー環境と接続し、より実業務に近い形で体験可能
- オーダーメイドPoC(検証期間:約6ヵ月)
- 自社固有の業務アプリケーションやネットワーク環境、周辺OA環境等を含めた本番同様の検証環境を構築
- 「重い」「使いにくい」といった懸念を事前に払拭可能

PoCを実施する際に大切にしたい視点
これまでの豊富な導入実績から得られた知見として、PoCを実施するにあたっての重要な視点を紹介します。それは、PoCを単なる動作確認の場として捉えるのではなく、本番運用を見据えた実践的な準備期間、予行演習として活用するという視点です。
技術要件や操作感等の検証を行うと同時に、既存環境や周辺OA機器で変更が必要になる点等を洗い出し、さらに本番導入時の「移行フロー手順」や「運用フロー手順」の整備も進めておくのです。
導入はしたものの、運用ルールが現状に即したものになっていなければ、現場の混乱や管理負荷の増大につながりかねません。ID管理やログ監視等の運用ルールやお問い合わせ対応の体制についても、この段階から本番に近い環境で予行演習しておくことで、スムーズな移行とその後の安定運用につながっていきます。
【ステップ3】既存システムとの連携と本番導入
PoCで最終構成が確定したあとは、既存システムとの連携を行いながら本番環境への移行を進めます。
「AQStage 仮想デスクトップ」は、お申し込みから4~5ヵ月程度でサービス提供を開始することができますが、大規模なプロジェクトでは計画策定から本格利用開始まで約1年を見据えたスケジュールを立てることで、余裕を持った環境整備や関係者の理解促進といった社内調整が可能になります。
また、「AQStage 仮想デスクトップ」は100IDからのスモールスタートにも対応しています。一度に全社切替えを行うのではなく、一部の拠点や部門単位・業務単位で段階的に導入を進めることも可能です。先行導入部門で運用ノウハウを蓄積しながら、運用課題やユーザーからのフィードバックを確認し、設定や運用手順を改善しながら対象範囲を広げていくことで、現場の不安を和らげ、影響も最小限に抑えられます。とくに、既存端末との併用期間を設けることで、業務停止リスクを回避しながら安全に移行を進めることが可能です。

クライアント端末更改を「運用改革」の機会に変えるという選択
クライアント端末の更改は、単なるハードウェア更新ではなく、運用モデルそのものを見直す重要な機会です。「仮想デスクトップ」を活用することで、端末管理の効率化やセキュリティ強化を図りながら、会社全体の生産性向上等、より戦略的で創造的な業務に注力できる環境を構築できます。
「AQStage 仮想デスクトップ」は、導入後も24時間365日の有人監視体制で安定運用を支援します。端末更改を機に、効率的でセキュアなIT基盤への移行を検討してみてはいかがでしょうか。
クラウド型仮想デスクトップサービス「AQStage 仮想デスクトップ」へのお問い合わせ
詳しくはこちら:https://www.nttbizsol.jp/service/daas/
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