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生ごみ堆肥化の落とし穴|導入前に知るべき「コスト」と「運用」のリアルな問題点

生ごみ堆肥化の落とし穴 導入前に知るべき「コスト」と「運用」のリアルな問題点

食品工場やスーパーマーケット、飲食店等の事業者にとって、生ごみ(食品廃棄物)の処理は大きな課題のひとつです。近年は「食品リサイクル法」の影響もあり、生ごみを堆肥化(肥料化)・飼料化等の形で再利用する取り組みが広がっています。しかし、生ごみの堆肥化にはコストや品質管理、需要とのバランス等、さまざまな問題点が存在するのも事実です。

本記事では、食品リサイクル法の基本から、生ごみの主なリサイクル方法、堆肥化の具体的な問題点と解決策までを体系的に解説します。生ごみの資源循環やSDGsへの取り組みを検討している企業担当者は、ぜひ参考にしてください。

「食品リサイクル法」への対応と生ごみの分類

生ごみ(食品廃棄物)の堆肥化を実現するために欠かせない、食品リサイクル法に関する基本知識について次のポイントから解説します。

食品リサイクル法とは?排出抑制と再生利用の義務

「食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)」は、食品製造業や外食産業等の食品関連事業者に対し、生ごみの削減と再生利用を促す法律です。食品リサイクル法では単に生ごみを廃棄するのではなく、以下のような優先順位での対応が求められています。

  • 排出抑制(食品ロス削減)
  • 再生利用(飼料化・肥料化等)
  • 熱回収(サーマルリサイクル等)
  • 減量(乾燥や脱水処理等)

食品関連事業者には、再生利用率の向上が求められており、堆肥化や飼料化等のリサイクルが重要な取り組みとなっています。

事業系生ごみ(食品廃棄物)の種類:産業廃棄物と一般廃棄物

事業活動で発生する生ごみは、法律上の区分によって処理方法が異なります。

産業廃棄物 食品製造業等から排出される食品残渣
(製造工程で発生する廃棄物)
事業系一般廃棄物 飲食店や小売店等から出る調理くず・食べ残し

同じ「生ごみ」であっても排出元によって法的な扱いが異なるため、適切な処理ルートや委託先の確保が必要です。誤った方法で処理すると処罰の対象となるため、リサイクル計画を立てる前に、自社の生ごみがどちらに該当するか把握することが重要です。

生ごみ(食品廃棄物)を堆肥化等で再利用する意義・メリット

生ごみ(食品廃棄物)を堆肥化等で再利用する意義・メリット

生ごみ(食品廃棄物)を堆肥化等で再利用することで、次のようなメリットが得られます。

ゴミの排出量を減らし、処理コストを削減できる

焼却処分や埋立処分を行う場合、収集運搬費や処理費が発生します。しかし、生ごみを堆肥化等で自社処理、あるいはリサイクル業者へ引き渡すルートを構築することで、可燃ごみとしての排出量を大幅に削減することができ、中長期的なコスト削減につながります。食品工場や大型スーパー等、生ごみの発生量が多い事業者ほど効果は大きくなるでしょう。

焼却処理を減らし、地球温暖化の防止(CO2削減)に役立つ

水分を多く含む生ごみを焼却炉で燃やすには、大量の化石燃料が必要となるため、多くのCO2(二酸化炭素)が排出されます。一方、生ごみを堆肥化等に回して焼却量を減らすことで、焼却処理の量を減らすことができ、温室効果ガスの排出削減が可能です。生ごみの堆肥化は、環境負荷低減の取り組みとして効果的です。

循環型社会の実現と企業のSDGs達成に貢献できる

生ごみを資源として農地に還元する堆肥化は、生ごみ(食品廃棄物)を堆肥として再資源化し、その堆肥を活用して農作物を生産し・流通させるという循環型社会の構築に貢献できます。SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」や目標13「気候変動に具体的な対策を」等に合致するため、企業価値やブランドイメージの向上につながる等、大きなメリットが得られるでしょう。企業の環境経営やESG評価の観点からも、生ごみの堆肥化は重要な取り組みとなっています。

生ごみ(食品廃棄物)の主なリサイクル方法

生ごみ(食品廃棄物)の主なリサイクル方法には、次のようなものがあります。

3-1. 堆肥化・肥料化して農場で利用する

生ごみを微生物の力で発酵・分解させ、農業用の堆肥や肥料として再生させる方法です。比較的幅広い種類の生ごみを受け入れやすいのが特徴ですが、水分調整や発酵期間の管理等、安全で高品質な堆肥を作るための技術が必要になります。

3-2. 飼料化して家畜に与える

栄養価の高い食品廃棄物(パンくず・麺類・おから等)を加熱・乾燥させて、豚や鶏等の家畜用飼料として再生する方法です。リサイクル製品としての価値が高く、輸入飼料への依存度低下にも貢献します。ただし、異物混入が許されないため、鮮度や成分の偏りがない生ごみに限定されることに注意が必要です。

3-3. メタン発酵させバイオガスとしてエネルギー利用する

堆肥化や飼料化が難しい水分・油分・塩分の多い生ごみに適した手法です。密閉タンク内で微生物によってメタン発酵させ、発生したバイオガスを燃やして発電や熱利用を行います。残渣(消化液)も液肥として利用できるため、無駄のない次世代型のリサイクル方法として注目されています。

堆肥化・肥料化する際の問題点とは?

生ごみ(食品廃棄物)を堆肥化・肥料化にはさまざまなメリットがありますが、自社で実行する場合には次のような問題点にも注意が必要です。

問題点1:設備投資や維持費がかかる

自社で堆肥化を行う場合は、専用のプラントや脱臭設備の導入に多額の初期費用がかかります。さらに、稼働のための電気代や、おがくず等の水分調整材の購入費、切り返し作業にかかる人件費等、継続的な維持費が発生し、事業の採算を圧迫しやすいという資金面の問題点があります。

問題点2:需要と供給のバランスが難しい

完成した堆肥を農家が必要とする時期は、種まき前の春と秋に大きく偏っています。この需要と供給の時期的なズレにより、非需要期には堆肥の在庫が積み上がり、保管場所の確保や品質劣化を招いてしまう等、運用上の課題が生じるケースがあります。

問題点3:悪臭・未熟堆肥等「品質にばらつきが出やすい」

生ごみは季節や日によって内容物が変わるため、常に一定品質の堆肥を作るのが困難です。発酵不良による悪臭や、分解が不十分な「未熟堆肥」ができあがるリスクがあります。未熟堆肥を農地に撒くと、土の中で再発酵してガスや酸素不足を引き起こし、作物を枯らす原因になりかねません。

堆肥化の問題点を解決するための具体策

堆肥化の問題点を解決するための具体策

前述した生ごみの堆肥化に関する問題点を解決するために、次のような解決策が効果的です。

無駄のない効率的なシステムを構築する

自社で生ごみを堆肥として完熟させ、それを水分調整材として再利用する「戻し堆肥」を導入することで、副資材費等のコスト削減につながります。また、自社処理にこだわらず、ノウハウを持つ専門のリサイクル業者に委託することで、トータルコストと手間を削減できます。

堆肥や肥料の品質基準を設定する

堆肥の品質は、主にC/N比(一般的に30以下、理想は15~20程度とされるケースが多い)、pH(5.5-8.0)、水分量、そして異物混入がないかで完熟度が判定されます。こうした基準を設定することで、生ごみの堆肥化が効率的に進めやすくなるでしょう。
また、肥料については「肥料の品質の確保等に関する法律」に基づき、主成分(窒素・リン酸・加里)や有害成分(銅等)の含有量が規格化されています。肥料化は、堆肥化に比べ、よりハードルが高いことに注意が必要です。

堆肥化が難しい生ごみは「エネルギー利用」へ切替える

良質な堆肥になりにくい生ごみについては、専門施設へ委託してメタン発酵による「バイオガス化(エネルギー利用)」へ切替えること等を検討してもいいでしょう。生ごみの特性に合わせて柔軟にリサイクル手法を選択することが問題解決の糸口になります。

「生ごみの堆肥化」で社会貢献とSDGsを実現!

「生ごみの堆肥化」で社会貢献とSDGsを実現!

生ごみの堆肥化は、処理コストの削減はもちろん、社会貢献やSDGsの観点からも非常に有意義です。一方で、コストや品質、需給バランスといった問題点を事前に把握しておくことが重要です。

NTTビジネスソリューションズでは、食品加工工場等から排出される食品残渣を堆肥に作り替え、契約農家へ届ける「地域食品資源循環ソリューション」を展開しています。廃棄コストの削減と、ごみを資源として循環させる仕組みづくりを通じて、地域経済の活性化と持続可能な社会の実現を同時にめざします。

地域食品資源循環ソリューションによるリサイクルの流れを示した図。食品関連事業者さまで発生した食品残渣を一次発酵物として分解。その後、リサイクルセンターが回収してさらに発酵させ、堆肥化を進める。その堆肥を契約農家さまに提供して農作物を新たに育て、できあがった農作物をさらに流通させるという、循環モデル

また、食品加工工場の汚泥を資源化する「汚泥肥料化パッケージ」の提供も開始しました。この機会にぜひ、お気軽にご相談ください。

サービス内容やご不明な点など、お気軽にご相談ください。

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