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食品工場の廃棄物、「産廃」か「一廃」か?3分でわかる適正区分とコスト削減の考え方

「廃棄物の不正転売のニュースを見て不安になった」「上司から処理コスト削減を指示されたが、問題のある業者に委託して問題になるのは怖い」。食品工場の総務・工場管理担当者から、このような悩みをご相談いただくことが増えています。
食品工場において製造ラインから出る固形の食品残渣(生ごみ)は、原則として「産業廃棄物(動植物性残渣)」に該当します。
一方で、社員食堂や休憩室から出る生ゴミは「事業系一般廃棄物」になります。この区分を混同することが、法的リスクとコスト増の最大要因です。
この記事では、食品工場に特化した「分別判定フローチャート」と、安全にコストを下げるための「リサイクル方法」を具体的に提示します。食品残渣に関する産業廃棄物でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ「食品残渣」の区分で迷うのか?法的リスクと「業種指定」の罠

食品残渣の区分で混乱が生じる最大の理由は「業種指定」にあります。
廃棄物処理法では、同じ「生ごみ」であっても、それを排出する業種によって「産業廃棄物」か「一般廃棄物」に区分されます。
食品工場では原則としてすべて「産業廃棄物」になる
たとえば飲食店の場合は、厨房から出る食品残渣は原則として「事業系一般廃棄物」です。
そのため、「食品残渣=事業系一般廃棄物(事業系一廃)」と誤解されやすいのですが、食品工場は「製造業」にあたるため、廃棄物の区分が異なります。
製造業から排出される食品由来の固形残渣は、原則として「動植物性残渣」という「産業廃棄物」に該当します。
ここが飲食店との決定的な違いで、法的・コスト面でのリスクにつながりやすい部分となっています。

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廃棄物が不正転売され社会問題化した事件も
廃棄物を適切に処理しなければ、企業活動やイメージに深刻な悪影響を与える事態になりかねません。
過去には、廃棄食品が不正に横流しされる等、廃棄物が不正転売され社会問題化した事件もあります。この件で問われたのは「排出事業者責任」です。たとえ、廃棄物の処理を外部委託したとしても、最終処分までの責任は排出事業者にあります。
ただし、過度に恐れる必要はありません。区分のロジックを理解し、正しい業者と契約して産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物管理票)で追跡管理を行えば、リスクは確実にコントロールできます。
発生場所と性状で判断!廃棄物区分フローチャート
廃棄物区分について現場で迷ったときは、成分ではなく「発生場所」と「性状」で判断してください。以下が実務用のシンプルな判定フローです。

前述したように、社員食堂や休憩室で発生した食品残渣は、飲食店と同じく事業系一般廃棄物となります。ただし、ステップ2の部分には注意が必要です。食品残渣の性状が「固形」か「泥状・液状」かによって、廃棄物区分はまったく異なります。
製造ラインで発生したものは「性状」に注意!
味噌や調味料等の食品残渣については注意が必要です。
「食品だから動植物性残渣では?」と考えてしまうかもしれませんが、泥状・液状物は動植物性残渣ではなく、「汚泥」や「廃酸・廃アルカリ」に該当する可能性が高いため、注意が必要です。
誤った品目での処理を実施した場合、許可品目外処理になりかねません。
コスト削減の前に押さえたい食品リサイクル法の基本と位置づけ
食品工場の廃棄物管理は、単なる「産業廃棄物の区分」だけで完結する問題ではありません。
食品工場は、食品リサイクル法において「食品関連事業者」として位置づけられており、食品廃棄物の発生抑制や再生利用を含めた法的な枠組みの中で対応することが求められています。
そのため、産業廃棄物と事業系一般廃棄物の区分を正しく理解することに加えて、食品リサイクル法がどのような考え方で食品廃棄物を位置づけているのかを押さえておくことが重要です。
食品リサイクル法に基づく取り組みで食品廃棄物の「排出量」は減らせる
食品リサイクル法は、単に「適正処理を求める法律」ではありません。
食品廃棄物の発生抑制や再生利用を通じて、事業活動に伴う食品廃棄物の排出量そのものを減らすことを目的としています。
法の趣旨に沿った取り組みを進めることで、法令遵守やリスク回避にとどまらず、廃棄物管理の負荷軽減やコスト構造の見直しにもつながります。
多量発生事業者に求められる報告義務とペナルティリスク
食品リサイクル法では、業種ごとに食品廃棄物の再生利用率の目標が定められています。
なかでも、前年度の食品廃棄物発生量が100トン以上となる「多量発生事業者」は、毎年、食品廃棄物の発生量や再生利用の状況について国へ定期的に報告する義務があります。
これらの取り組みが著しく不十分と判断された場合には、国からの指導や勧告、さらには企業名の公表や罰金といったペナルティを受ける可能性もあります。そのため、食品リサイクル法への対応は、リスク管理の観点からも軽視できない重要なテーマと言えるでしょう。
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発生抑制・再生利用がSDGs対応や企業価値向上につながる理由
一方で、食品リサイクル法への対応は、単なる「義務」や「リスク回避」にとどまるものではありません。食品廃棄物の発生抑制や再生利用に取り組むことで、排出量そのものを減らすことができれば、日々の廃棄物管理や処理にかかる負担も着実に軽減されていきます。
また、食品残渣を焼却処分するのではなく、飼料や肥料として循環利用する取り組みは、環境負荷の低減やSDGsへの貢献として評価されやすく、企業価値やブランドイメージの向上にもつながります。
法令を「守るため」の対応にとどめるのではなく、事業活動を見直すきっかけとして前向きに活用することが、結果的に持続可能な経営への一歩となるのです。
焼却は損?「食品リサイクル」に切替えて処理コストを下げる考え方

前章で見たとおり、食品リサイクル法に基づく取り組みを進めることで、食品廃棄物の排出量そのものを減らすことが可能になります。ここでは、その取り組みを実務に落とし込んだ場合、従来の焼却処理と比べて、処理コストの面でどのような違いが生じるのかを整理します。
一般的に、食品残渣を焼却処理する場合、処理単価はおおむね30~70円/kg程度※がひとつの目安とされています。焼却施設の維持費や燃料費、人件費の上昇等を背景に、このコストは今後も大きく下がりにくい構造にあります。そのため、排出量が多い食品工場ほど、焼却処理に依存したままではコスト負担が重くなるでしょう。
一方で、飼料化や堆肥化といった食品リサイクルに切替えた場合、条件次第では20~40円/kg程度※に抑えられるケースもあります。食品廃棄物を単に「捨てるもの」として焼却するのではなく、資源として循環させることで、処理コストの考え方そのものを見直すことができます。
重要なのは、単に処理方法を変えるだけでなく、「排出量を減らしたうえで、どのように処理するか」をあわせて考えることです。排出量削減と処理方法の見直しを組み合わせることで、廃棄物処理にかかるコスト構造は、より効率的なものへと変えていくことが可能になります。
- ※あくまで一般的な目安であり、地域・処理方法・条件等により変動します。
食品リサイクルを推進する「地域食品資源循環ソリューション」
食品残渣の処理を「廃棄物処理」で終わらせるのではなく、食品リサイクルとして継続的に実行していくための仕組みとして、NTTビジネスソリューションズは「地域食品資源循環ソリューション」を提供しています。
本ソリューションは、食品工場等から排出される食品残渣を堆肥化し、農作物の生産へとつなげることで、食品廃棄物を資源として循環させる食品リサイクルの取り組みです。単に処理負荷を下げるための仕組みではなく、地域の中で資源が循環する流れを構築できる点が特長です。
食品工場では、業務用生ごみである食品残渣を「フォースターズ(食品残渣発酵分解装置)」に投入することで、特別な技術や専門的なノウハウを必要とせず、食品リサイクルのプロセスを始めることができます。装置内で生成された一次発酵物は回収され、リサイクルセンターにて追熟されることで、農業利用が可能な高品質な堆肥として活用されます。

また、本ソリューションは初期投資が不要なサブスクリプション型サービスであるため、高額な設備を購入することなく、月額利用料で食品リサイクルの仕組みを導入できる点も特長です。導入時の負担を抑えながら、資源循環の取り組みをスムーズに始めることができます。
食品残渣を焼却処理する場合と比べて、食品リサイクルへ切替えることで廃棄にかかるコストを抑えられるケースも多く、排出量の多い食品工場では、年間の廃棄費用を大きく削減できた事例もあります。コスト面と環境面の両立を図れる点が、地域食品資源循環ソリューションが選ばれている理由のひとつです。
・地域食品資源循環ソリューションの詳細はこちら
https://www.nttbizsol.jp/service/foodwaste-recyclingsolution/
食品残渣・産業廃棄物の正しい分別こそが会社を守って利益を生む

食品工場の廃棄物区分は「発生場所」と「性状」で決まります。製造ラインから出る固形物の廃棄物区分は動植物性残渣で、泥状・液状は汚泥・廃酸等です。
社員食堂や休憩室由来のものは事業系一般廃棄物となります。この基準を徹底するだけで、法的リスク・コンプライアンスリスクは大幅に低減します。
さらに、分別を徹底しリサイクルへ回せば、処理コストも削減可能です。あなたの判断は単なる「生ごみ管理」ではありません。会社を法的リスクから守り、利益を生み出す経営行為なのです。食品残渣のリサイクル施策の一環として、「堆肥化」を検討してみてください。
NTTビジネスソリューションズの「地域食品資源循環ソリューション」は、食品残渣を堆肥化する取り組みをサポートするサービスです。
また、食品工場向けに、排水処理能力を向上させることで有機汚泥(フードスラッジ)等を減らし、処理コスト削減を実現する「酵活ブースター」も提供しておりますので、この機会にぜひお気軽にご相談ください。
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