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職場で勝手にマクロを使うのは、もうやめたほうがいい理由
マクロを使って効率化―――業務効率化の先駆けともいえるものが、現在では、少し様相が変わってきています。
組織マネジメントの観点から見た問題点に加え、RPAといった新しいテクノロジーの登場により、
「マクロを組む作業に時間を費やすことが、効率的でない」
という側面が出てきているのです。
本記事では、2020年代の現在における、業務効率化の最適解を考えていきます。
マクロを組むことの問題点
職場においてマクロがどう使われてきたのか、そして何が問題なのか、みていきましょう。
マクロを使えば業務を自動化できる
マクロとは、デジタル大辞泉で以下のとおり解説されています。
パソコンで、複雑な操作の手順をあらかじめ登録しておき、必要なときに簡単に実行させる機能。マクロ機能。※1 |
---|
たとえば、Microsoft Excelなら「VBA」というプログラミング言語を使えば、かなり複雑なタスクも自動化が可能です。
2000年代〜2010年代においては、多くの人が職場でマクロを使って、業務の効率化を図ってきました。
組織マネジメント上の問題
一方、組織マネジメントの観点からみると、上司の承諾なしに、従業員が自己判断でマクロを組んで業務効率化することには、以下の問題があります。
|
もちろん、上司の許可を取ったうえで、業務の一環としてマクロを組むことは、問題ありません。
VUCA時代では作ったマクロの賞味期限が短い
もう一点、近年では、
「せっかく時間をかけてマクロを作ったところで、活用できる期間が短い」
という傾向にも、着目しておきましょう。
VUCA時代(変化が激しく複雑で、未来の予測が難しい)においては、顧客の状況やビジネスのあり方が、流動的だからです。
ちょっとした手作業を自動化する程度なら便利に使えても、ワークフロー全体に関わる大がかりなマクロとなれば、労力に対して得られるリターンが小さくなっている現状があります。
とはいえ、日々の業務はできるだけ効率化したいところです。どんな解決策が、考えられるでしょうか。
自分でマクロを組むより合理的な解決策「RPA」
マネジメント観点の問題をクリアし、かつVUCA時代にも対応できる方法として、注目が集まっている解決策に「RPA」があります。
RPAとは何か
RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、人間の行動を、ロボットを使って自動化する技術のことです。
"ロボット"と聞くと、Pepper(ペッパーくん)のような人型ロボットが思い浮かぶかもしれませんが、RPAのロボットは、"ボット(bot)"といったほうがイメージしやすいでしょう。
「特定のタスクを自動化するプログラム」というニュアンスです。
RPAは、とくにバックオフィス業務(事務処理、総務・経理部門等)での活用が進んでいます。
たとえば、
「手作業で行っていたデータ入力やチェック等の作業を、人間に代わってボットにやってもらう」
という具合です。
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マクロとRPAの違い
マクロとRPAは、共通している機能と、RPAだけができる機能があります。
マクロ | RPA | |
---|---|---|
操作の記録 | ○ できる | ○ できる |
特定タスクの自動化 | ○ できる | ○ できる |
複数アプリの連携 | × できない | ○ できる |
既存システムをそのまま利用 | × できない | ○ できる |
プログラミングの知識 | × 必要 | ○ 不要 |
以下で補足説明をしましょう。
複数アプリの連携
RPAとアプリケーションのAPIを連携させると、複数のアプリを横断したワークフローを実現できます。
「API」とは、異なるアプリ同士のやり取りを仲介する仕組みのことです。
RPAなら、
「会計ソフトで出力したデータを、Excelで表にして、メール配信ツールで社内にメールする」
といった具合に、アプリを横断した自動化を実現できます。
マクロと比較すると、RPAは「ひとつのワークフローで、より多くの業務を自動化できる」のが強みです。
既存システムをそのまま利用
マクロの場合、マクロだけで自動化できる範囲が限られるのがネックです。
なんとか自動化しようと試行錯誤するうちに、プロセスが複雑になり、ブラックボックス化してしまうこともあります。
RPAはマクロより汎用性が高く、たとえば、既存のITシステムをそのまま活かして利用できます。
なお、RPAが動作する領域はシステム内部ではなく、ユーザーインターフェースです。システム内部を改変する必要も、ありません。
プログラミングの知識
マクロを組むには、プログラミングの知識が必要ですが、RPAは専門知識がなくても利用できるよう設計されています。
業務効率化を実現するうえで、これは非常に価値の高いポイントです。
プログラミングの知識がある限られた従業員ではなく、「その業務に携わる、当事者の従業員」が、現場の状況やニーズに合わせた、細かな調整をできるからです。
実用性の高い効率化を実現できる点で、マクロよりRPAに軍配が上がります。
「マクロよりもRPA」が時代の流れ
企業にとって多くのメリットがあるRPAですが、トレンドの視点からも、今はちょうど「マクロからRPAへの過渡期」といえます。
RPA市場は2010年代後半より急成長
RPA市場が盛り上がり始めたのは、2010年代後半以降のことです。
矢野経済研究所の調査によれば、RPA市場の規模は2016年度時点で【85億円】と、100億円以下でした。
それが3年後の2019年度には【529億円】と約6倍にも拡大し、2023年度予測は【1,520億円】となっています。※2
図1 RPA市場規模推移・予測
以下を参考に図を作成しています。
出所)矢野経済研究所「RPA市場に関する調査を実施(2020年)」
2010年代前半までは、「効率化のために、マクロを組む」というスタンスが、正解だったかもしれません。
しかし現在では、
「自分でマクロを組むなんて、非効率だ(RPAにやらせるべき)」
という価値観へ転換しつつあります。
RPAにできることはRPAに任せる時代
「RPAを何のために導入するか?」
といえば、より高度な思考や創造的な戦略、革新的なアイデアを生み出すため、といえます。
無駄が減ってラクになる、省人化してコスト削減になる----、といったことも重要ですが、
「RPAにできることは、人間はやらない」
と決めて任せることで、組織のポテンシャルを最大化できます。
それが企業の競争力となると同時に、顧客に自社独自の高い価値を届ける源泉となるのではないでしょうか。
まとめ
かつて、職場の"仕事ができる人"たちがマクロを使いこなしていたように、今度はRPAを使いこなす時代がやってきました。
マクロ以上にできることの幅は広く、うまく使うことで、業務全体を合理化できます。今までマクロを使いこなしていた方ほど、その価値を実感できるはずです。
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