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DE&Iとは?企業が推進するメリット・意義や具体的な取り組み事例を解説

DE&Iとは?企業が推進するメリット・意義や具体的な取り組み事例を解説

「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」とは、多様性(Diversity)・公平性(Equity)・包摂性(Inclusion)の3つの概念を企業経営に活かす取り組みです。企業を持続的に成長させ続けるためには、多様な人々が個性と能力を遺憾なく発揮できる環境を整える必要があります。

しかし、DE&Iを実現するためにどのような施策が効果的か、分からないこともあるでしょう。そこで本記事では、DE&Iに取り組んで成果が出た企業の事例や、具体的な施策をご紹介します。組織において施策を検討する際の参考にしてみてください。

DE&Iとは

まずはDE&Iについて、次のポイントから解説します。

  • 「多様性」を企業経営に活かす取り組み
  • 「D&I」を発展させた概念が「DE&I」
  • DE&Iが重視されるようになった背景

「多様性」を企業経営に活かす取り組み

「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」は、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包摂性)」の3つの要素を、企業経営に活かす取り組みを指します。各要素の意味は次のとおりです。

要素 意味 概要
Diversity 多様性 性別・年齢・国籍・人種・価値観など、異なる属性を持つ人々が共存する状態
Equity 公平性 すべての人々に平等な機会を提供し、個人のニーズや背景に応じた支援が受けられる状態
Inclusion 包摂性 個人が組織の一員として尊重され、それぞれが互いを認め合って活動できる状態

企業経営において、それぞれの従業員が持つ個性を最大限に活用し、新たな価値やビジネスを創出することがDE&Iの主な目的です。

「D&I」を発展させた概念が「DE&I」

従来は「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」という概念が一般的でした。これは多様性を認識・尊重することで、自社の人材が有する多様なスキルや価値観を融合させるというものでした。しかし、単に多様性を受け入れるだけでは、個々のニーズや背景に応じた支援を提供できず、特定のグループが依然として恩恵を得られないケースがあったのです。

そこで多様性と包摂性に加えて「公平性」も重視する機運が高まり、機会を平等に提供するだけではなく、個々のニーズや状況に応じた適切な支援を行い、公平な環境を整備しようとする企業が増えました。このように、D&Iに「Equity(公平性)」の概念を加えたのがDE&Iです。

DE&Iが重視されるようになった背景

2023年から大手上場企業に人的資本の情報開示が一部義務付けられたこともあり、日本国内でもDE&Iに取り組む企業が増えていますが、その背景として「グローバル化」「価値観の多様化」「外国人労働者の増加」などが挙げられます。深刻な人手不足やビジネス環境の変化などにより、従来の経営方針では企業の持続的な成長が難しくなっていることが主な理由です。

企業の競争力を強化するためには、外国人労働者・女性・LGBTなど、いわゆる「少数派」の人々が活躍できる環境を整える必要があります。そのための変革の一環として、DE&Iの重要性が急速に高まっているのです。

しかし、「Global Gender Gap Report 2024」では、日本のジェンダーギャップ指数が146か国中118位と低く、国内におけるDE&I推進の遅れが指摘されています。

DE&Iに取り組んで成果が出た企業の事例

DE&Iに取り組んで成果が出た企業の事例

DE&Iに取り組み、成果が出た企業の事例をご紹介します。社内で施策を検討する際の参考にしてみてください。

  • パーパスに基づいた企業文化を醸成
  • 男女の格差を是正するための施策を展開
  • 特例子会社を設立して障がい者雇用を促進
  • 女性の活躍を推進してキャリアを支援
  • LGBTQ+の研修で全社的な意識改革

パーパスに基づいた企業文化を醸成

総合電機メーカーのA社では、DE&Iに取り組むことをパーパス・ステートメントで示し、「誰もが自分らしく活躍し、公平で寛容な企業文化」の醸成を始めました。そのための施策として、各地域の担当者を集めてDE&Iに関する会議を開いたり、心理的安全性やアンコンシャスバイアスに関する研修を行ったりしました。

その結果DE&Iが企業文化の中心となり、育児休業や介護休業などからの復職率は100%になったのです。さらに従業員の定着率も向上するなど、同社は「働きやすい職場」の実現に成功し、あらゆる従業員が意欲的に活躍できるようになっています。

男女の格差を是正するための施策を展開

大手鉄道事業者のB社では、DE&I施策の一環として、「女性管理職10%以上」「男性育児休業取得率100%」など、ダイバーシティマネジメントを推進しています。

そのほかにも、女性の活躍を推進するために、ライフイベント・生活と仕事の両立・キャリアアップの不安や悩みを相談できる研修会やセミナーなども開催しました。こうした取り組みにより、同社では性別に関わらず従業員が活躍できるようになっています。

特例子会社を設立して障がい者雇用を促進

大手製薬会社のC社では、DE&I施策の一環として、「ノーマライゼーション」の取り組みを実施しました。ノーマライゼーションとは、障がいの有無に関わらず、互いに支え合って豊かに生きていけるような社会を目指すことを意味します。

同社では、障がい者が知識やスキルを発揮できる環境を提供するために、障がい者雇用のための特例子会社を設立しました。さらに、女性の活躍推進や男性の育児参加促進などさまざまな施策を行うことで、多様な人材が活躍できるようになっています。

女性の活躍を推進してキャリアを支援

大手食品メーカーのD社では、性別・年齢・国籍・価値観や、障がいの有無・ライフスタイルなどに関わらず、多様な人材が活躍できる組織を目指してDE&Iの概念を取り入れました。

特に「女性の活躍」を最優先課題に掲げ、女性管理職の候補者育成や、育児休業からの復職者への「復職セミナー」実施など、さまざまな施策を展開したことがポイントです。その結果、女性活躍推進企業として「なでしこ銘柄」や「えるぼし認定」を取得するなど、DE&Iの取り組みが高い評価を受け、企業イメージの向上にもつながりました。

LGBTQ+の研修で全社的な意識改革

大手飲料メーカーのE社ではDE&I施策の一環として、多様な性的指向や恋愛指向を有するLGBTQ+当事者に、平等な機会を提供する取り組みを実施しています。

例えば、全従業員を対象とした研修の実施や社内規程の改定など、全社的な意識改革を実施しました。その結果、LGBTQ+に関する正しい知識が全社に浸透し、差別や偏見がなく多様性が尊重される環境の醸成が進みました。多様な人材の知識・ノウハウが活かしやすくなり、ビジネスの成果も向上しています。

事例に学ぶDE&I推進のポイント

DE&I施策の効果を高めるためには、次のようなポイントを意識して実施することが大切です。

  • 経営陣が積極的にコミットする
  • 職場環境や社内制度を整備する
  • アンコンシャスバイアスの対策を行う
  • 職場における心理的安全性を高める
  • 従業員に対して適切な教育を実施する

経営陣が積極的にコミットする

まずは、経営陣がDE&Iの推進にコミットする姿勢を従業員に示すことが大切です。DE&Iの施策は「組織のあり方」を変えるようなものも多いため、従業員の反発を招くことがあります。例えば、「女性管理職の比率を向上させる」という施策の場合、管理職登用の条件を変更することで一部従業員から不満が出るかもしれません。

DE&Iは企業の経営戦略であるため、組織が一丸となって取り組む必要があります。そのため、DE&Iの目的・ビジョンやメリットについて経営陣が丁寧に説明し、従業員に浸透させる努力が求められます。

職場環境や社内制度を整備する

DE&Iを実現するためには、従業員がどのような働き方を望んでいるかを把握したうえで、それぞれが能力を発揮できる職場環境や社内制度の整備が欠かせません。

例えば、「リモートワーク」の導入により、子育て中の従業員の働きやすさが改善されます。「育児休業」や「介護休業」、「短時間勤務制度」などの制度を充実させることで、育児や介護など家庭の事情を抱えた人も活躍できるでしょう。

また、「定期通院休暇」や各種支援ツールなどの導入により、障がい者の方が働きやすい環境も構築できます。このように、適切な環境や制度を整えることで、多様な人材が活躍できるようになるのです。

アンコンシャスバイアスの対策を行う

企業がDE&Iを推進するためには、従業員の「アンコンシャスバイアス」と向き合うことも大切です。アンコンシャスバイアスとは、私たちが無意識のうちに抱いている偏見や思い込みを指します。例えば「企業の社長」と聞くと、中年の男性をイメージする人は少なくないでしょう。

アンコンシャスバイアスの種類はさまざまですが、職場における採用・人事評価・人材活用など、大切な場面で悪影響を与える可能性があります。しかし大半の人は、自身のアンコンシャスバイアスの存在に気付いていません。そのため企業は、アンコンシャスバイアスを克服するためのトレーニングを実施して、従業員が「気づき」を得られる機会をつくる必要があります。

職場における心理的安全性を高める

職場の「心理的安全性」の改善も、DE&Iの実現に欠かせません。心理的安全性とは、組織のメンバーが自由に発言しやすい環境を指し、心理的安全性が高い組織は「風通しの良い」状態にあるといえます。

Google社が行った調査によると、心理的安全性が高い組織は優れた成果を出しやすいことが分かっています。これは従業員が互いの多様性を尊重し、失敗や間違いを恐れずに行動できる環境が整っているからです。心理的安全性を高めるためには、社内コミュニケーションの活性化や、前述したアンコンシャスバイアスの対策などが効果的です。

従業員に対して適切な教育を実施する

従業員にDE&Iを意識してもらうためには、適切な教育を行う必要があります。特にアンコンシャスバイアスは自覚しづらいため、インプットだけではなくアウトプットの機会も設けたトレーニングを行うことが理想的です。

そこで対話型の研修を行うことで、他者によるフィードバックが得られるため、アンコンシャスバイアスへの気づきを促進できます。そのための有効な施策として、AIとの対話を通じて従業員のバイアスパターンを見える化し、意識改革や行動変容につなげられるトレーニングツールがあるため、ぜひ活用してみましょう。

DE&I施策の成功には「karafuru AI(カラフルAI)」がおすすめ!

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企業経営にDE&Iの考え方に基づいた施策を取り入れることで、多様な人材がスキルやノウハウを発揮できるようになり、企業の持続的な成長につながります。しかし、DE&Iの推進には環境の整備や従業員への教育だけではなく、従業員に自身のアンコンシャスバイアスへの気づきを促し、実際に「行動」につなげることが大切です。そこで「karafuru AI(カラフルAI)」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

karafuru AI(カラフルAI)は、多様性のある組織づくりを継続的にサポートする対話型AIツールです。本人も気付かない「バイアス」や「思考の傾向」などを見える化し、個人の意識や行動の変容を促すことで、組織内のDE&I推進に役立ちます。この機会にぜひご相談ください。

関連リンク

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https://www.nttbizsol.jp/service/karafuru-ai/

karafuru AIに関するお問い合わせ
https://form.nttbizsol.jp/inquiry/karafuru-ai

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